同期で同い年、共に芸人の活動範囲を押し広げ活躍しながら、なぜかすれ違ってきた又吉直樹と西野亮廣。「別冊カドカワ 総力特集 又吉直樹」誌上で実現した二人の対談の模様をお伝えする本企画の第二回は、小説と絵本、お互いの創作活動について語ります。
西野 僕ね、最初は同期のことって気にしてなかった。でも、さっきも言うたけど、二十五歳の時に「テレビに軸足を置いてても逆転ないな」と思って、自分の居場所を作らなきゃって思って絵本のほうに行ったんだよね。基本的にはレギュラー番組以外テレビには出ないようにして、絵本書いて。でも一冊目を出した時、あんまり売れなかったんですよ。絵本業界では売れたほうかもしんないけど、世間的には誰も知らない。
それで、二冊目もあんまり売れなくって「そういえばキングコングの西野って最近見ないな」みたいな、なんかオワコンみたいになってて。その時、部屋で一人で作業しててテレビをパッとつけたら、ピースとかNON STYLEだとか、平成ノブシコブシとか同期がバンバン活躍してて、「あれ?」って。逆転しようと思ってここに座ったはずなのに、後退してないか? と思った。そん時は「本当に頑張んないと」って、火ぃ着いたのを覚えてる。作ったら勝手に売れると思ってたけど、売らなきゃ作ってることとしてカウントされないんだ、つまり、売れなかったら作ったことにならないんだって。「俺は売れてない」っていう、単純な焦りを感じた。
又吉 僕は文章書くの好きなんで、ずっと文章を書いてたけど、それが本になるっていうのは、そのころは思えてなかった。やっぱり、「まず世に出ないと無理なんかなあ」、みたいなもんが、意識としてはあった。だから西野くんのことは、うらやましかったですね。自分の好きなことをやってるっていうのが。今もヒゲ生やしてるのとか、めっちゃうらやましい。
西野 はははは。
又吉 結構重要なんです。「こいつはヒゲ生やせる奴なんや」って。ヒゲ剃らな出られへん場所がない。
西野 なるほど。
又吉 剃らないかん時は剃るんやろうけど、それが一週間以上ないっていう。僕、ヒゲ剃らな出られへん場所があるんで。ほんまはヒゲぼうぼう人間なのに。
西野 そんなこと考えてんの?ヒゲうらやましいなって思ってんの?
又吉 僕は何歳でヒゲ生やし始めれんのやろって、お風呂入ったらいっつも思う。
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