「バケモノの子」(2015年公開)以来、3年ぶりの作品となる最新作「未来のミライ」(2018年7月20日・金公開)の製作を発表した細田守監督。物語は4歳の甘えん坊な男の子・くんちゃんが、未来からやってきた中学生の妹・ミライちゃんと共に、家族にまつわる冒険を繰り広げるファンタジーだ。作品の鍵をにぎるキーワード、ポスタービジュアル、監督インタビューから2018年夏の注目作の見どころに迫ります。
細田監督自身の子育ての経験や、日常生活の中で見つけた子供のリアクションが作品に生かされている。自身が一人っ子だった細田監督は、二人目の子供が誕生したとき、母親の愛情を妹に奪われたと嫉妬心をあらわにする息子を見て、人間は愛情を求めるのだとあらためて考えさせられたという。
今回は、主人公・くんちゃんの妹・ミライの誕生で幕を開けるが、劇中では未来からきた妹と兄の年齢が逆転することでさらに面白いきょうだい関係が味わえそう。物語の核となるくんちゃんとミライの大冒険は、特報映像に出てくる動物のしっぽのような“人間ではない存在”も登場するが、世界の危機を救う系ではなく、家族の歴史や時間をめぐるものとのこと。これまで、「サマーウォーズ」(2009年)では親戚、「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)では子育てをする母親、「バケモノの子」(2015年)では絆で結ばれた父子と、家族を描き続けてきた細田監督が、きょうだいの物語をどんな視点で描くのかも楽しみだ。
そして、主人公が暮らす街が重要な意味を持つ細田作品。今作の舞台は、横浜市の磯子区や金沢区で、家族にとって非常に重要なことが歴史的におきた場所なのだそう。また、ポスタービジュアルのくんちゃんの服の胸には「電車」のイラストがあるように、鉄道もキーワードの一つ。映画を作るに当たり、細田監督はイメージハンティングのためパリやロンドンを訪れたといい、舞台の横浜は、日本で最初に鉄道が開業した場所でもあることが物語の鍵なのかも?
「時をかける少女」(2006年)から、ポスターに入道雲を使っている細田作品。理由について、監督は「力強いし、空の青と雲の白のコントラスト、絵の抜け感も好きなんです。それに入道雲は夏に特有のものなので、一目で夏の映画だと分かってもらえますからね。でもこの雲は積乱雲なので、嵐を起こす激しさを持つし、蒸し暑さも呼び込みます。爽やかそうなだけでなく、生命力のメタファーでもあるんです。そんな入道雲で、若い人たちの生命力を表現したいということです。今回の雲の絵を描いてくれたのは、ジブリ出身の美術監督の大森崇くん。先輩たちが描いてきた歴代ポスターの雲に負けたくない、という気合が込められたとてもいい雲だと思います。そんな雲を背にきょうだいが飛んでいることで、何かを飛び越えるダイナミズム、2人の結び付きを表しました」とこだわりを語った。
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