「新しく芽生えた命と出合ったときの新鮮な感動を描きたい」。
そう思ったのがこの映画の発端です。4歳の子供の視線で世の中を見れば、きっと僕らが気付かない何か新しいものが見えてくるはずだと考えました。僕の息子が4歳のとき、妹が生まれたことで彼の取り巻く状況が一変しました。つまり母親が妹にかかりきりになって、そのときの彼の姿をモチーフにしています。
今回、チャレンジだったのは、主人公が4歳の男の子だということ。実は映画でこの年齢はあまり前例がないんです。映画「となりのトトロ」(1988年)のメイが4歳ですが女の子。アニメ「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日系ほか)のしんのすけは1つ上の5歳ですが、1歳違うと急に下品なことを言いだすなど、がらりと変わります。シリアスさと快楽主義的な面を持ち、かつバイタリティーもある4歳児だからこそ見えてくる面白さを描きたいと思っています。
主人公の名前はくんちゃん。よく「~君」や「~ちゃん」という呼び方をしますが、それを合わせたんです。つまり彼は「君」でも「ちゃん」でもない、まだアイデンティティーが揺れ動いている状態という意味で付けました。そんな男の子が、未来からやって来た中学生になった妹・ミライと一緒に冒険をします。ちなみに甘えん坊のお兄ちゃんに対し、妹の性格は手厳しいです(笑)。そんな二人の冒険の旅は、一種のバディ(相棒)ものとして描いています。映画のタイトルは、未来からやって来た妹というふうにとれますが、価値観が多様化し、「普通」という基準がない今の世の中で、子供たちはどう生きてゆくのか、彼らにどんな未来が待っているのかという意味も込めました。
僕らの子供のころと、今の子供たちとでは「未来」の概念が違う。どんな未来が来ても、力強く生きてほしいという思いや、子供たちがどうやって自分たちの未来を発見していくかを描いているので、中学生や高校生など若い人たちに当事者意識を持って楽しんでほしいです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)