【テレビの開拓者たち / 小仲正重】林修、坂上忍との出会いがテレビマンとしての転機に

2018/01/27 22:00 配信

芸能一般

坂上忍さんの『本音でニュースを斬るんだ』という覚悟に、僕らも襟を正される思いでした


政治、事件、芸能などさまざまなニュースについて、メーンMCの坂上忍が出演者たちと本音の激論を交わすトークバラエティー「バイキング」(フジ系)©フジテレビ


──その坂上忍さんとは、小仲さんが番組立ち上げ時からプロデューサーを務める「バイキング」でご一緒されています。開始当初は苦戦されていたようですが、2016年の春に、討論形式の“生ホンネトークバラエティ”としてリニューアルして以降、視聴率も上がっていきました。

「開始から2年間ずっと平均視聴率が2~3%でしたからね。しかも、その数字が毎日のようにネットのニュースで取り上げられて、かなりしんどい2年間でした。あのころは、唯一好評を博していたサンドウィッチマンの『日本全国地引き網クッキング』というコーナーが心の支えでした(笑)。

そんな苦しい2年間が過ぎて、局内でも『そろそろ潮時だろう』という雰囲気になってきたときに、坂上さんと改めて話し合いをしたんですね。そこで総合演出の島本(亮)も含めた3人で出した結論が、『ニュース路線で行きたい』と。ところが、『バイキング』はスタッフも演者さんも報道畑ではないし、『バラエティーのチームにニュース路線の番組が作れるわけがないだろう』と周囲からはかなり反対されて。社内や関係者を説得するのも必死でした。でも、その結果、徐々に数字(視聴率)も上がっていった。新しい番組を作るときは、周囲の反対を恐れず、というか、みんなが反対することをあえてやってしまうくらいの気概は絶対に必要なんだということを学びましたね。

それとやっぱり、坂上さんの『どんなネタにも恐れずに踏み込むんだ』『本音でニュースを斬るんだ』という決意は、並々ならぬものがありましたから。特にリニューアルしたばかりのころは、まず自分が手本を見せなきゃいけないという思いがあったのだと思います。率先して自分の意見を発言されていましたね」

――視聴率が上がっていったのは、そんな坂上さんの本気の姿勢が、視聴者に届いた結果なのかもしれませんね。

「あるタレントが薬物所持で逮捕されたとき、そのタレントについて、坂上さんが、一人きりで真剣に話をされたことがあるんですよ。怒りも悲しみも率直にぶつけながら、カメラに向かって7分半、延々としゃべり続けた。坂上さんの“覚悟”を見せつけられて、僕らスタッフもビビっちゃいけないんだと襟を正される思いでしたね」

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