【試写室】「ホリデイラブ」“魔性と狂気”の波状攻撃に白旗

2018/02/02 06:05 配信

ドラマ コラム

仲里依紗が夫の浮気で傷つけられる(C)テレビ朝日

独断と偏見のレビュー


「不機嫌な果実」(2016年ほか)、「奪い愛、冬」(2017年)と、テレ朝“金曜ナイトドラマ×不倫モノ=鉄板”という近年の黄金パターン通り、第1話を見て、これも回を重ねるごとにじわじわくるドラマだろうなと思ったが、第2話を一足先に見て、その思いがさらに強まった。

なぜかって? 何しろキャラクターがみんな、濃ゆ~いのだよワトソンくん。

最近では「黒革の手帖」(2017年、テレビ朝日系)で狂気に満ちた“主人公の敵”を好演した仲が、今回は旦那に浮気されてしまう切ない“サレ妻”に。割と普通のいい主婦だったのが、浮気されたことによって彼女の中の魔性なのか、何かが覚醒していくのが何となく2話を見ると感じられ、底知れぬ恐怖と哀しみを覚えた。

そもそもこんないい奥さん&子供がいたら、普通に考えて浮気なんてしている場合じゃないだろうに。私だったら一目散に家に帰るでしょうよ。って、取らぬ狸の皮算用か…。でも、深夜2時に帰宅して「ねえ、帰んの早くない?」って毎日言われる身になってみ? 何の話だ。

早速脱線したが、夫の純平役の塚本のハマリっぷりは何なんだ。何の悪意もなく言わせてもらうと、浮気して奥さんに三行半を突き付けられそうな雰囲気を出すのが絶妙にうまい。

だまっていればイケメン路線を突っ走れるルックスなのだが、不思議なお人だ。それに女性目線で言うと、「ちょっとあの人、反省してるの?」と言いたくなるくらい、浮気を謝っているはずなのに、開き直っているような印象すら受ける語り口。

そこもまた、この役を演じるに当たってはこの上ない彼のアピールポイントだろう。

そして何を隠そう、個人的に昔から好きな女優さんだった松本まりかの魔性の女っぷりったらもう、あかん。どの作品の何が好きだったか?って言われると即答しかねるが、そういうことじゃなくて、「あの同僚の子、美人だな。ああ、松本まりかか…納得」というシチュエーションが多々あり、ずっと気になっていた。

それが今回は、主役級の活躍ぶり。第1話のラブシーンなんか、セクシー過ぎて直視できなかった。何より声が魅力的。あの声で囁かれたら…と思うと、正直理性を保てる自信はないって殿方が多々おられるのではあるまいか。

それに第2話で、家を追い出されたと純平が告げたときの顔! ビックリしているようなリアクションを取っていたが、明らかにほくそえんでいるというか、喜びを我慢しているように見えた。口元を隠しても、目を見ればそれは明らか。「魔性の女・オブ・ザイヤー2018」に早くもノミネート決定だ。

その夫を演じる中村倫也。これもまたクセがすごい。誰がどう見てもインテリエリートなビジュアルで、冷静に妻の浮気をリポートしたかと思えば、純平に暴行を加え、妻にも暴言を吐く。

被害者ではあるものの、こういうタイプが一番怖いし、やっかいだ。妻を「汚い女」と罵った後、嫌なことを思い出してしまって荒れ狂うあたりは人間味があって、ちょっぴり同情したが…クマのぬいぐるみをいじめるのはやめて! 

ぬいぐるみに暴力を振るうのはネネちゃんのママ(by「クレヨンしんちゃん」)だけで十分だ。さておき、サレ夫の今後もやや同情しながら見ていきたい。

さらにもう1人魔性の女がいる。壇蜜演じる謎の女・麗華だ。スピリチュアルな世界に通じる霊的能力の高い女性で、杏寿のネイルサロンにやってきた客だそうだが、この人も個性的。どこか浮世離れしており、なぜか杏寿のことは何でも御見通し。

普段から何もかも見透かしていそうな雰囲気をかもし出している壇蜜姐さんだが、今回のキャラクターはいつにも増してそれが表れていて、適役としか言いようがない。あながち悪い意味でもなく相手の感情を逆なでするのが絶妙に上手なキャラクターと見た。

ひとまず「あんた、あの子(杏寿)の何なのさ」と言っておこう。杏寿の敵なのか、味方なのか、ゾクゾクしながら見守りたい。ちなみに、某“あなそれ”的なドラマで仲が演じていたのも「麗華」だったな。ここテストに出るから、覚えといて。

あとは、主人公の親友をやらせたら右に出る者はあんまりいない平岡祐太に、ちょっと軽いキャラの山田、困ったときの池谷のぶえ、純平の後輩作業員たちも、いいアクセントとして存在している。

ここまで、やっぱりみんな濃い。魔性の女に狂気に満ちた男、女性もか。ここまで続けて出てくると、お手上げ。続きが気になって仕方ないわ。

しかし、浮気だ不倫だってドラマの世界でも世の美男美女は欲張りだ。いや、平たくいえばうらやましいな。

ウイークデイラブもままならないのに、ホリデイラブなんてもってのほか。オトナ高校留年中の筆者に近寄る“魔性の女”なんて、せいぜい美しい顔をして電話一本で記事を書かせる女性くらいだ。

ええ、楽勝で転がされてますよっと。

文=人見知りシャイボーイ