映画「ヒメアノ~ル」(2016年)で話題を集めた吉田恵輔が監督・脚本を手掛けた「犬猿」が、2月10日よりテアトル新宿ほかにて全国公開中。
本作は “兄弟”“姉妹”が持つ、羨望・嫉妬・愛憎が入り交じった感情を描く。強盗罪で服役していた兄・卓司(新井浩文)と印刷会社の営業マン・和成(窪田正孝)、小さな印刷所を営む姉・由利亜(ニッチェ・江上敬子)とその手伝いをする妹・真子(筧美和子)。この2組が出会い、それぞれの関係が大きくゆがみはじめ、“犬猿”のバトルを繰り広げる。
今回、映画初出演の江上にインタビューを行い、自身の役柄や撮影現場でのエピソードなどを聞いた。
――由利亜という役は、吉田監督が江上さんをイメージして書かれたキャラクターで、「ぜひ江上さんにお願いしたい」というオファーがあったと聞きました。
びっくりしたのですが、ありがたい話だと思いました。台本を読んだ時すごく由利亜に感情移入できましたし、由利亜って自分の容姿に自信のない人が誰しも一度は抱く感情を集約した役だと思うんです。私も小さい頃からそういう部分を持って育ってきたところがあるので、グッときましたね。
――由利亜の気持ちに共感できたということですか?
自分に自信がないから、かたくなになっちゃったり、意固地になっちゃったりとか…。そして、人の駄目な部分を見つけて言うことによって自分が癒やされるとか、自分の存在意義を見つけるとか…そういうところは共感できました。演じているというか、昔の自分がいる感じでした。今は結婚したので、穏やかな日々を過ごしています(笑)!
――では、あまり役作りをされたという感じではないのですか?
そうですね。台本の役名のところに、「由利亜は太っていて容姿がみにくい女性」って書いてあったので、そういう気持ちでいた方がいいんだなと思って、自分がみにくい女性だと思うようにしました(笑)。
――共演者の窪田正孝さん、新井浩文さん、筧美和子さんとは初共演ですか?
窪田くんは、ちょっとあいさつしたことがありますね。うちの相方(近藤くみこ)が、めちゃめちゃ窪田くんのファンなんですよ! 窪田くんがデビューして間もないころに「ケータイ捜査官7」(2008-2009年、テレビ東京系)に出ていたんです。その時に近藤さんが「すごく格好いい人を見つけた! もう、最高なの!!」って言っていて。それからは、窪田くんが出ている作品をずっと見ているみたいです。
その後、「オールスター感謝祭」(TBS系)で女芸人が俳優さんのために体を張る企画があったんですが、そこに窪田くんが出ていて、近藤さんがめちゃめちゃ頑張って優勝したんです(笑)! なので、お会いしたのは3年ぶりくらいぶりですね。近藤さんに映画で共演することを話したら、「私、これまで江上さんの仕事に嫉妬したことはなかったけど、今回だけはめちゃめちゃ嫉妬している!」ってすごい顔で言われました (笑)。
――そんな江上さんは今回、窪田さん演じる卓司に恋心を抱き、筧さん演じる妹・真子に嫉妬する役どころですね。
私も由利亜に似ていて、恋愛に関しては嫉妬しかない人生でしたね。自分の中では自分を美化していて「こういうふうに恋愛したい!」と思い描いているものがあるけど、結局はもともと自分が持っているものは変えられず最終的にはうまくいかなくて…。
(由利亜は)自分の中では、中身は妹のような胸も大きくてスタイルのいい女性でいるんですけど、実際は違う。そこの中身と外見の滑稽さに胸が苦しくなりましたね。
――真子は真子で、由利亜の頭がいいところとか仕事ができるところに嫉妬していますよね。
でも、私(由利亜)から言わせてもらうと、「そこって努力でなんとかなるんじゃないの?」って思うんです。こっちは努力でなんともならない部分で苦しんでいるのにと思うと、嫉妬やねたみがすごいんだと思うんですよ。だから、私もやっていて苦しかったです。やっぱり由利亜は報われないし、切ないですね。でも、きっと身の丈に合った恋愛を覚えていくんだろうなと思います。私自身もそういうふうに生きてきたので。
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