遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研という、今を時めく名脇役たちが本人役で出演。シェアハウスで共同生活をするという設定で繰り広げられる、オフビートな笑いに満ちた虚実皮膜のストーリーが好評を博したドラマ「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」(2017年テレビ東京系)、そして2月7日からスタートした待望の新作「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活をしたら~」で、メイン監督を務める松居大悟。弱冠32歳にして、ドラマの脚本・演出にとどまらず、「アフロ田中」(2012年)、3月3日(土)公開の「アイスと雨音」といった映画の監督や、舞台劇の作・演出、また俳優活動に至るまで、マルチに活躍する彼に、作品づくりにおける信条や今後の展望を語ってもらった。
──「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」のメイン監督・脚本を担当されることは、どのような流れで決まったんでしょうか。
「プロデューサーであるドリマックス(制作会社)の浅野(敦也)さんからお話をいただいたんですが、6人の俳優さんの誰とも仕事をしたことがなく、かつ、このドラマがターゲットにしている年齢層と近い世代の作り手ということで、僕に声が掛かったみたいで。そもそもは、僕ら世代の視聴者が見たいと思うような6人の姿を、しかも誰にも重心を置かずに撮ってほしい、というお話で」
――二つ返事で引き受けた?
「もちろん、『話が決まったら絶対にやります!』とは答えましたけど、ただの夢物語だと思って本気にはしてなかったんです。これは飲み屋でする話だと(笑)。でもその後、本当に実現しそうだということになって、スタッフの皆さんと話し合いながら、6人に本人役で出てもらおうとか、舞台をシェアハウスにしようといったことが決まっていきました」
──“バイプレイヤーズ”の皆さんと初めてお会いになったときは、どんな印象でしたか?
「本読みのときが“はじめまして”だったんですけど、6人全員が一斉に来られたので、そのときはもう…帰りたいと思いましたね(笑)。しかも僕らがやろうとしているのは、非常にくだらないというか(笑)、ユルい感じの作品でしたから、重鎮である皆さんをいざ目の前にすると、緊張感がハンパなくて、脇汗が止まらなかったです。でも、お一人お一人と話をさせていただくと、僕が年下だとかキャリアが浅いとかいったことは全く関係なく、フラットに“監督と俳優”の関係で接してくださって。とても安心しましたね。やはり、長い間映画やドラマを支えてきた名バイプレイヤーは、人としても立派な方々なんだなと」
──撮影が始まってからはいかがでしたか?
「撮影前は、僕らがバイプレイヤーズの皆さんにやってほしいことが膨らみすぎて、それを全て脚本に詰め込んでいったんですね。でも、その一方で、どう撮るべきか悩んでもいて。そんな中で、6人が初めてそろって撮影した日の夜に、6人全員から意見が出て。それで翌日、撮影を飛ばして、もう一度話し合う時間を設けたんです」
──バイプレイヤーズの皆さんは、どの辺りを問題視されていたんでしょうか。
「全く険悪な感じではないんですけど、『僕らは全然やれるけど、この感じで12話続けるのはどうなんだろう』と。要するに、当初の脚本は、僕らが言わせたいセリフだらけで、説明ゼリフも多くて、撮影するときに、6人の芝居を追い掛けるのがやっとな感じになっていたんですよね。僕ら制作陣は、この6人とドラマを作れる期待が膨らみすぎてしまったけど、そうじゃなくて、そもそもこの6人がここにいること自体が奇跡で、それをそのまま写し撮ることが大切なんだと。そして何よりも、皆さんに自由に生き生きと演じていただくのが一番なんだと気付いて、あらためて、その観点から脚本を削ったり足したりして、シフトチェンジしていったんです。おかげで、それ以降は6人と同じ方向を向いて撮影することができました。ただ結局、僕が6人にやってほしいと思っていたことは、最終的にほとんど実現できたんですけど(笑)」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)