平昌オリンピックもいよいよ後半戦! そこで、メダル獲得が期待される注目競技の見どころを、「ザテレビジョン」が元五輪選手の解説を加えて徹底紹介する。今回は、絶対王者・羽生結弦の動向が気になるフィギュアスケート男子シングルに注目!
16日にショートプログラム(以下SP)が、17日にフリースケーティング(以下FS)が行われるフィギュアスケート男子シングル。メダル候補筆頭は、五輪連覇の期待がかかる羽生結弦だ。
SP・FSの総合得点で世界歴代最高得点を更新し続け、世界を魅了してきた。ジャンプの技術とスケーティングの芸術性を“異次元のレベル”で融合させた羽生を、現行の採点方式の下で超えるにはどちらかで突き抜けた構成にするしかない。
必然的に高得点が望めるジャンプに比重が置かれ、昨年の四大陸選手権のFSでネイサン・チェン(アメリカ)が4回転ジャンプを5回組み込む高難易度の構成に成功した。五輪シーズンも全体的にその傾向が続いているが、同時にけがのリスクも高まり、実際に羽生が右足関節外側じん帯を損傷して長期離脱を強いられた。その一方で4回転ループも成功させたチェンは5種類の4回転ジャンプを跳べる選手となり、宇野昌磨もアクセル以外の5種類を跳べるまでに成長した。
それでもFSなどの世界歴代最高得点保持者は羽生だ。ジャンプは失敗するリスクと背中合わせとなるだけに、芸術性を含めた総合力が問われてくる争いになりそうだ。成長著しい宇野昌磨、激しい競争の中で平昌への切符を勝ち取った田中刑事の滑りにも注目が集まる。
羽生がこれまでに残してきた“伝説”は数知れず。15-16年シーズン12月に行われた「GPファイナル」では、ノーミスの演技で自身の持つ世界記録を軽々塗り替え史上初となるGPファイナル3連覇を達成した。構成点はSPとFS共に満点に迫り、合計330.43点を記録した。
'16年3月「世界選手権」では、けがを抱えながらもSPは自己ベストに肉薄する高得点で3試合連続100点超えを記録。「見たか」と雄たけびを上げた。FSでは転倒し、2位となったが、底力を見せつけた。
'17年3月の世界選手権、SPで連続ジャンプの着氷に失敗した羽生は1位に10.66点という大差をつけられ5位に。震える声で「悔しい」とつぶやいたが、翌日には心機一転。4回転4本に加え、ジャンプを加点付きで成功させるノーミス演技を披露。FSで223.20点を叩き出し、自身が持つ最高得点を更新してまさかの逆転優勝を果たした。
そんな羽生について、織田氏は「氷上練習を再開し、難易度の高いジャンプを跳ぶことを含めて、恐らく1週間もあれば技術面はしっかりと戻せると思います。だからこそ、競技から離れていた間に氷上以外の練習をどれだけできているかですね。世界一のレベルにあると評価していい芸術性で勝負を懸けるためには、体力や持久力がどうしても必要になってくるので」と見る。実に3か月ぶり、“ぶっつけ本番”となる五輪の舞台だが、練習で4回転ジャンプを決めるなど、ここまで元気な姿を見せている。平昌での戦いが、羽生の新たな伝説となるか。
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