次世代俳優・吉村界人「『悪魔』は僕自身なのかも」

2018/02/21 08:00 配信

映画 インタビュー

TANIZAKI TRIBUTE「悪魔」で主演を務める吉村界人スタイリスト=安本侑史

文豪・谷崎潤一郎が生み出した“三つのゆがんだ純愛”を映画化する、特別企画「TANIZAKI TRIBUTE」。

渋川清彦と戸次重幸がW主演を務める「神と人との間」、片山萌美と淵上泰史、でんでんという個性豊かな俳優陣で描く「富美子の足」に続き、主人公の青年が若くて美しい女子高校生に出会い、次第に崩壊していく様を描いた「悪魔」が2月24日(土)より公開される。

ラストを飾る3作目で主演を務めるのは、次世代の日本映画界を背負っていくと呼び声の高い若手俳優・吉村界人だ。

そんな吉村が演じるのは佐伯という男子大学生。アルコール依存、幻覚などに苦しみ、さらに下宿先の娘・照子(大野いと)に小悪魔のごとく翻弄(ほんろう)されていく。

今回、役柄通り(?)ミステリアスな雰囲気を全身から放ちながら登場してくれた吉村だが、「僕は明らかに余裕がないタイプなんです」とはにかみながら本作の魅力を語ってくれた。

――今作への出演が決まっての率直な感想はいかがでしたか?

すごくうれしかったです。まず“原作は100年以上前に書かれているんです”というそのワードが、すごくうれしくて。

そんなに前の作品を今やるんだと思うとワクワクしますよね。

――そのワクワクとは裏腹に、演じる上での違和感はなかったですか?

そうですね。1993年生まれの僕が、1800年代の人物を演じるというのは絶対的に温度差が出てくると思うんです。でも、現代風に直しているというハンデの中で、現代っぽい自分をどこまでもなくしていくということを考えていましたね。

――なくしてくというのは?

例えば喋り方ですね。普段使う「マジで?」とか「やべー」など、そういう言葉遣いではないというか…。

昔の人って自分の話す言葉を大事にしているような気がします。言葉遣いもそうですが、座り方もどしっと構えているというか、そういうものが僕はまだままならないので、気を付けようと思いましたね。

――そういうしぐさですとか、言葉遣いは何かお手本になるものがありましたか?

1980年代当時の24歳の俳優が出演する映画などを観ました。

水谷豊さんのデビュー作とか、そういった年代の方の作品を極力見るようにしていました。あとは原作も読みましたよ。僕、もともと谷崎潤一郎さんの作品が好きで、「悪魔」とは別に3冊は読ませていただいていて。

いつも本を読むときは自分が好きな箇所を折り曲げているので、あらためてそのページを読み返したりもしました。

原作は、正直暗いですよね(笑)。好き嫌いが分かれる作品だと思うんです。結構、目を背けたくなる描写もありますし。文字にした方がどよーんとしていますけど…。僕はそういう作品の世界観が好きなので、面白かったです。