LISMOドラマでファンタジー作品に出演した北乃きいは意外と“現実的”!?

2010/04/12 20:38 配信

ドラマ 芸能一般 インタビュー

LISMOオリジナルドラマ第12弾「still life」に出演する北乃きい

KDDI(株)では、携帯電話やパソコンのほか、テレビに接続することで映像や音楽を楽しむことができるau BOXで視聴できる映像作品を配信中。現在、LISMOオリジナルドラマ第12弾「still life」(全4話)が配信されている。

同作は、同居中の恋人に捨てられてしまった美大生・長崎ナツミ(北乃きい)の物語。失恋に打ちひしがれたナツミは、祖母の形見であるクロッキー帳に絵を描いた。すると、描いた物が実体となって次々に飛び出してくる。渡欧した恋人・カケル(入江甚儀)を描いたナツミは、自分の体に“魔女”の血が流れていることを知る。

一見、平凡な美大生だけど実は“魔女”というナツミを演じた北乃に話を聞いた。

―――恋愛ファンタジー作品ですが、役作りは大変でしたか?

ケータイドラマ自体が初めてでしたし、ファンタジーのような作品にも出演した経験がなかったんです。しかも魔女役ですからね(笑)。ナツミを演じながら「人間らしくない子だなぁ」という感覚はありました。魔女だから…ということなのかもしれませんが、クロッキー帳に絵を描いて魔法を使う場面以外でも、漠然と“人間らしくない子”だと感じていたんです。演じる上で意識したことはあまりなかったんですけど、失恋した後の落ち込み方なども含め、実際のわたしとはずいぶん違う子です。

―――ナツミは失恋して部屋に引きこもっちゃいましたが、ご自身はそこまで落ち込むことってあるんでしょうか?

それ、よく聞かれますね〜。「ストレスなんて感じるんですか?」とかって(笑)。ナツミは食事の時でさえ布団から出られないほど落ち込みますが、わたしが布団の中に入るのは寝る時だけですよ。ただ、落ち込むことはもちろんあります。そんな時は、悲しい映画を見たり、暗い音楽を聴いたりして、“とことん落ち込む!”という自分なりのスタイルがあるんです。“人間はどこまで落ち込めるのか”って挑戦する感じかな。そのうちに、落ち込むことを忘れて芝居のことを考え始めちゃうんですよ。「この体験も演技に生かせるぞ」と思って、いつの間にか仮想のカメラが回っていたりするんです。普段の生活の中でも、いきなりカメラが回りだすことってしょっちゅうあるんですよ。例えばタンスの角に足の小指をぶつけた時なんかでも、「痛いっ!」って思う前に、「本当に痛いと、痛い部分を手で押さえたりしないもんなんだなぁ…」とその体験を基に“リアルな芝居”について考えたりしちゃいます。

―――仕事以外の時間も仕事しちゃっているんですね。でも、仮想のカメラが頻繁に回りだしちゃうと、なかなかリラックスできる時間がなさそうですが。

そうなんですよ。だから、プライベートのわたしは黒、“北乃きい”でいる時は白って決めているんです。私服は全身、黒だったりしますから(笑)。衣装って意外と力を秘めているんですよね。今まで出演してきた映画やドラマの衣装って、赤とか青が多かったんです。だから黒ずくめにすると、仕事とプライベートをはっきり分けられる。今はいいバランスで仕事ができていますね。

―――今回のドラマには絵に描いた物が何でも取り出せるクロッキー帳が登場しますが、プライベートでは“ショッピングでストレスを発散!”というようなこともあるんですか?

一人旅に出掛けたり、一人カラオケで発散することはあります(笑)。でも、あまり物欲がないんですよ。だから、魔法のクロッキー帳があっても、たぶん燃やしちゃう。「怖いから」というわけじゃなくて、必要ないかなって。最近、すべてのことは運命で決まっているんじゃないかと思っているんですよ。成功すること、失敗すること、手に入れられる物、入れられない物って、あらかじめ決まっているんじゃないかと。もちろん、努力することで未来は変えられるとは思いますが、何かにつまずいた時に、「これも決まっていたことなんだ」って思えばあまりへこまないで済みますからね(笑)。

―――魔女役を演じた北乃さんですが、ご自身はかなり現実的なんですね。

意外とそうなんです。そういえば、今回、ナツミの父親役で共演したモト冬樹さんからもかなり現実的なことを言われました。「色気がない」とか、「モテないでしょ?」とかって(笑)。モトさんはだてに50年以上生きてないですね〜。短い撮影期間だったのにすぐ見抜かれちゃいましたから。ビックリですよ。役者としてのすごさだけじゃなくて、人間的なすごさも感じました。

―――では、そんな“現実的”な北乃さんがお薦めするこの“ファンタジー”作品の見どころを教えてください。

ごく普通の美大生が魔法のクロッキー帳を手に入れて、そこからいろんなことが巻き起こる物語です。ナツミは自分が魔女であるという衝撃の事実を知るわけですが、その過程で得るものは意外とシンプルで、「自分のやりたいことを見つける」ということだと思うんです。これをエンターテインメントとして作品にしているんですよ。いい意味で現実離れしているストーリーですから、不景気が続く今の世の中にピッタリだとも思います。わたしは歌手としての活動もしていますが、映像作品や音楽を含め、エンターテインメント作品の良しあしって技術力だけの問題じゃないと思うんです。真っすぐ伝わるホットな物の方がいいんじゃないかなって。この作品はそういう魅力を持っていると感じます。

ヘアメーク=佐々木博美 スタイリスト=阿井真理 撮影/取材/文=大小田真