――通常、試写会では笑いが起きにくいと言われていますが、本作の試写会では笑い声がたくさん上がっていました。そういう鷹の爪の「笑わせ方」についてはどう思われますか?
小堺:テレビで言えない事を言ってくれてるなって思う。今の若手のコメディアンはすごく勉強していて、テレビで言っちゃいけない事を分かっているんだよね。だからって言いたい事がないわけじゃないんだけど、現場でそれを貫く若手は少ない。そういうのが僕は悔しいんだけど、だからこそ鷹の爪を観ると「そういうことだよ、ありがとう!」って思うんだよね。
FROGMAN:確かに、鷹の爪は昔から「お金持ちや悪いやつを笑い飛ばす」っていう弱者の視点でやってますね。
小堺:しかも、悪いやつに直接「悪い」って言うんじゃなくて、にやっとさせる笑いだよね。それを「センスがいいだろ」って言わないところがいい。「DC鷹の爪」は日本とアメリカの作品だけど、笑いはシニカルでイギリスっぽいよね。
FROGMAN:それは意識してるので嬉しいです。モンティ・パイソンはかなり意識してますし、鷹の爪の元々のモデルも「宇宙船レッド・ドワーフ号」というドラマなんですよ。バタバタしてるだけのコメディなんですけど面白くて、自分でもやりたいと思って作ったのが鷹の爪なんです。
小堺:シニカルだけどあえては言わない、でも実は細部はこだわって作ってあるっていう作品だよね。(「DC鷹の爪」作中に登場する)シン入社員の手の向きとか、細かいのにしっかりしてるって思ったもん(笑)。
FROGMAN:細部に関して言うと、今のアニメは動かそうと思えばいくらでも動かせるんですよ。でも、いかに動かさないで笑わせるのかということをやっています。その方が難しいし、監督としても面白い。動かせばいい、背景を奇麗に書けばいい、というのはあえてやらずに「この絵でいかに笑わせるのか」というのを続けています。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)