草なぎ剛「僕自身も自分の演技を信じられる」 【連載コラム】

2018/03/26 05:05 配信

芸能一般

自由に演じることの素晴らしさを彼が体現してくれてる


パラ駅伝と前後して、映画「クソ野郎と美しき世界」がオールアップしました。僕は太田光監督のエピソード3「光へ、航る」に出ます。太田さんはものすごい映画好きで、本人も本を書いたり、僕らも歌を書いてもらったり、そういうモノを作ることに非常に長けている人で。で、本人もプレイヤーだから、全部の役を自分で演じて見せてくれるのね。それがすごく分かりやすくて。余計な演出をするより、最初にやってくれるんだから。

よく太田さんはギャグで「奇跡の連続で」と言うんだけど、僕はこの現場、あながち間違いじゃないと思ってるのね。撮ろうと思っても撮れないようないろんな偶然が重なった気はしていて。(夫婦役の)尾野真千子ちゃんと僕との感情が絡み合って、感じたことがない化学反応が何度となく起きてたから。いや、尾野ちゃんすげぇから。真千子ちゃん最高よ。やっぱりお芝居っていいね。新しい世界だった。

吾郎さんがエピソード1で、慎吾が2、僕が初めて登場するのは映画全体を通してもちょうど中間くらいになるんだよね。それこそバトンをつないでのカットだから、すごいこだわって撮ってる。そこは見逃さないで。

そして、エピソード4はオールキャスト登場! それぞれのストーリーと人生が一瞬だけど交差する感じで、素敵なんだよ。パーティーみたいで。とにかく笑って、面白かったなって、ちょっとした幸せみたいなものを劇場から持ち帰ってくれる作品になったと思う。

もちろん3人のシーンもあります。僕は役者稲垣吾郎、役者香取慎吾をリスペクトしてますから。

吾郎さんの役はカッコいいしシャープでキレていて。すごい集中力でピアノもかなり練習してた。やっぱり芝居がうまいんだよ。そのキャラクターを消化するのがうまくて、カッコ悪い役でも今回みたいなスマートな役でもどの役にでもなれちゃう。今回はピアノを弾いてジェントルマンなところもあるんだけど、ちょっとお茶目なところもあったりして。そのギャップを演じられるのは吾郎さんの振り幅が広いからこそ。僕も見習っていろんな面を自分も持ちたい。吾郎さんはそう思わせてくれる人。

慎吾はアーティストなんでね。今回は香取慎吾役なので、細かいこととか気にしないで、そのままで成立しちゃうっていう。存在感がすごいんだよ。なんかズルいっていうか(笑)。僕もあんまり考えないでやるっていうのは慎吾の影響かもしれない。そのとき感じたことでいいじゃないかって。一時、台本をすごい読んでいたこともあったんだけど、慎吾を見てると自由に演じることの素晴らしさを彼が体現してくれてるので、僕自身も自分の演技を信じられるなって。うん、そんなふうには思うね。

どう? 映画楽しみでしょう?劇場へぜひ! その前に東京日比谷の帝国ホテルプラザでPOP UP SHOPがオープン中です。映画に使った衣装や小道具が飾られて、高級コーヒーも飲めるって。慎吾がよく打ち合わせしてました。何だ?建築家か?みたいな立派なグラフィックの紙を広げて、あーだこーだ、セットやオブジェもあいつがやってた。皆さんも足を運んでくださいね。僕も行くよ!

「ちょっとした幸せみたいなものを劇場から持ち帰ってくれる作品になったと思う」撮影:諸永恒夫