――本番を迎えるまでに、何か取り組んだことはありますか?
エリカが登場するのは第6話のCパート(エンディング後)からだったんですが、1話からブースに入り、皆さんのアフレコを見学させていただきました。自分の収録が来るまでに先輩方のお芝居を見て、少しでも吸収できるものを見つけようと思って。気付いたことは何でもメモを取って、スタジオにいる全ての時間が勉強でした。
――エリカというキャラクターをどう表現しようと思ったのか。役作りについてどう考えていきましたか?
エリカは17歳の女の子ですが、アラトとは同世代の17歳ではないんです。77年間コールドスリープについていた眠り姫。当時の医療レベルでは治せない病気を未来の技術で治療するためにコールドスリープしていたんですが、目が覚めた時、エリカの周りには家族も知人も、全員がいなくなっていました。
2104年の何も分からない世界に放り出され、ものすごく孤独で辛い境遇にいるんですが、それ故に彼女は凛としているんです。私とは正反対の、すごく強い女の子です(笑)。
役作りにあたっては、そういう自分とは正反対というのを意識しました。言葉も態度も、エリカは私と真逆の表現をするだろうなって。最初は逆転の発想で少しずつエリカを理解していって、今は自然な状態で彼女の意思を汲み取れるようになってきた気がします。
――初アフレコはどうでしたか?
初めてのアフレコは台詞ではなく、息遣いの音だったんです。でも、その息1つ出すのにも緊張してしまい、マイク前に立ったとき、全身が心臓になったような気分でした。もう自分の耳には鼓動しか聞こえなくて、マイクにも心臓の音が乗ってるんじゃないのか、みんなに聞こえてないだろかと思うくらいの状態でした。
――本当に初めてのアフレコなので、皆さんも注目していたでしょうね。
そうなんですよ。水島監督や先輩方の視線を感じて、すごく緊張しました。
――今は慣れましたか?
少しだけですが。まだマイク前に立つたびにドキドキしますけど、エリカでいようという気持ちが落ち着きにもなるんです。エリカはあまり感情的にならない、いつも冷静沈着に物事を判断するタイプなので。
――感情を出さないセリフというのも難しくないですか?
エリカは冷たいわけではなく、感情を出さないだけで色々複雑な思いを抱えている子なんです。感情を探らせないような、ギリギリのラインを台詞に乗せるのがとても難しいです。
初めて長い台詞を喋る時はそれが上手くできなくて、菊田さんからエリカの心情を細かく指導していただきました。
どこを一番の意味として捉えるか、長い台詞の時は文法の理解も大事であるとか。いつまでも勉強だなんて言っていたらいけないんですけど、本当に全てが勉強だなと思います。
【アイドルから憧れの世界へ。陶山恵実里、「BEATLESS」で声優デビュー。虹コンの活動が私を強くしてくれた に続く。同記事は4月6日(金)朝7時アップ予定】
取材・文:鈴木康道
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