世間であまり知られていない知識や知恵を、賢人・林修が“知ってた”か“初耳”かを答えていく形で紹介する新趣向の情報バラエティー「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)。この春、放送4年目に突入しながらも、今なお2ケタの視聴率を連発するこの番組だが、その好調の理由を、番組の主役・林修と、彼の教え子でもある水野雅之氏(総合演出・プロデューサー)が自ら分析。「初耳学」師弟対談を前・後編の2回にわたってお届けする。
林修「もともと(日曜夜10時台は)視聴率的に厳しい枠と聞いていましたし、“初耳”の問題もいずれネタが尽きるだろうと思っていたんですが、うまくいっているなと思いますね」
水野雅之「僕としては、スタートから一貫して“初耳”というコンセプトをキープしながらも、毎回必ず新しい試みをしてきました。1時間をテーマで縛ったり、問題の難易度を調整したり…。それで、2年半が経った昨年10月、それまでのトライアルの中でうまくいったものだけを残す形にリニューアルしました。新コーナーをどんどん立ち上げたのも、出演者の衣装を白で統一するのをやめたのもここからです」
林「こういう明確な設計図を持っている指揮者がいるから、僕はその上で踊っていればいいんですよ(笑)」
水野「白い衣装は、初回を見た視聴者に違和感でチャンネルを止めてもらうための仕掛け。すぐにやめるつもりだったんですけど、反響が予想以上だったので続けていました」
林「それは初耳!(笑) この番組のスタッフは、僕が企画の意図をつかめないときでも、理由を聞けばちゃんと答えが返ってくる。非常に確かなビジョンを持って作られているから、結果的に視聴者にも受け入れられたんじゃないでしょうか」
──水野さんは高校時代、林先生が教える塾の教え子だったそうですね。
林「ええ、優秀な生徒でしたよ。彼は文系ですけど、数学もちゃんとやっていた。そこは今の番組づくりとつながっている気がします。数学は、論理的な思考の訓練になりますから」
水野「先生の印象は当時から変わらないです。博識だけど、シニカルで雑談が多い(笑)。実を言うと、この番組のキャスティングは、当時の塾の教室の雰囲気がイメージとしてあるんです」
林「確かに大政絢ちゃんもケンティー(中島健人)も、あのときの誰々だなって思い当たる子がいるからね」
水野「収録中、昔の記憶が蘇って『現代文の授業でしていたあの話をして』と急にカンペを出すこともあります」
林「そうそう。あれはこの番組でしかできないことだね(笑)」
──番組では、林先生が問題の答えを“知ってた”かどうかが、やはり一番の見どころですが。
水野「先生がすごいのは、問題について、もし7割しか知らなくても、残りの3割は話しながら理論を組み立てて、正解してしまうんですよ」
林「他のタレントさんにはない僕の強みというのは、やっぱりロジカルな部分ですから、僕が出演している番組では、そこを生かしてもらえるシナリオが必要なんですね。だから、作り手にも論理的になってもらいたいんですよ。その点、『初耳学』のスタッフは皆、努力を惜しまず、僕がやりやすいシナリオを作ってくれる。常日ごろから勉強もしなくちゃならないし、本当に大変だと思います。最近、明らかに読書量が増えたでしょ?」
水野「かなり…(笑)。最近は、うちのスタッフが先生と話しているのを横で聞いていても、明らかに理解度が深まってきているのを感じます」
林「そんなスタッフにどんな隙を突かれるのか、こちらは傾向と対策を考えて。その緊張感も、この番組の武器なんだろうね」
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