ゆりやん、ノーベル平和賞ユヌス氏と熱い握手! 吉本興業が社会問題を解決する事業に本格参入

2018/04/01 17:00 配信

芸能一般

ゆりやんレトリィバァのネタに感激(?)したノーベル平和賞受賞の経済学者、ムハマド・ユヌス氏が熱い握手!

地域社会の問題をビジネスで解決する新会社設立


3月28日、バングラデシュの経済学者、ムハマド・ユヌス氏と吉本興業が提携し、2月1日に100%子会社の「ユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社(yySA)」を設立したことを発表。ユヌス氏が提唱する「ユヌス・ソーシャルビジネス」のキックオフミーティングとなる「ユヌス家族会議」が開催され、よしもと芸人の大谷ノブ彦(ダイノジ)、銀シャリゆりやんレトリィバァらが出席した。

2006年にノーベル平和賞を受賞したユヌス氏も出席、格式の高さを感じさせるオープニングとなったが、司会の山口智充が本イベントの趣旨を説明し終えた途端、鳴り響いたのはあのおなじみのBGM。吉本新喜劇の軽快なオープニングテーマだ。するとステージには川畑泰史座長、烏川耕一松浦真也の新喜劇メンバーが登場し、コテコテの笑いのやり取りの中で、改めてユヌス氏について紹介。会場である一流ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」の雰囲気が一気になんばグランド花月に様変わりしたかのように、客席の最前列のユヌス氏も客イジりの標的になったり、ゆるキャラ「ユヌスくん」がサプライズ登場したりと、楽しい空気の中で「ユヌス・ソーシャルビジネス」の概要説明が行われていく。

続いて、「お笑いとエンタメと、ユヌス・ソーシャルビジネス」というテーマのレクチャーでは、ユヌス氏が「芸人のみなさんには、人の心に直接訴えるパワーや、地域と一緒に問題を解決できる能力がある」と、よしもと芸人の可能性に期待するコメントを。続いて、ファシリテーター(促進役)である慶應義塾大学教授・中村伊知哉氏と、世界的な経営学者・野中郁次郎氏の2人が、「ユヌス・ソーシャルビジネスは、日本の土に根付くのか?」について語り合った。

人気芸人が笑いを交えて社会問題を訴求


そして、よしもと流の社会課題解決ディスカッションの時間へ。社会課題について、ユヌス氏ら、会議の出席者がさまざまなアプローチによって解決する糸口を探っていく、というもので、芸人たちが地域の問題点を漫才やコントに織り込んで発表していく。

まず、銀シャリは、高齢化をテーマに「老人のひとり暮らし」を漫才でプレゼン。日常のトラブルや身近な困ったことなどを漫才で訴えかける内容に、山口は「『(バラエティー)生活笑百科』(NHK総合)に近いテイストだから、僕にも分かりやすかった」と感想を述べると、客席からは温かい笑い声がもれる。また、吉本興業が2011年より取り組んでいる「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で各地に派遣されている“住みます芸人”からも、高齢化地域のコミュニケーション不足や、震災によって仮設住宅に住むことを余儀なくされた高齢者の人々の問題、雪国の高齢者世帯の雪かき問題などが課題として挙げられた。

次は、過疎化につきものの「シャッター商店街」の現状を、大谷ノブ彦がラジオDJに扮したコントで紹介。神奈川県の住みます芸人・囲碁将棋をはじめ、秋田県と静岡県の住みます芸人からも、シャッター商店街の深刻な現実が明かされた。

さらには、農業の担い手不足を切り口に、人手不足問題をテーマにしたコントをゆりやんレトリィバァが披露。おなじみの昭和の映画女優になりきり、「ひどいわ、先生」「私も連れてって」といったフレーズで笑いを取った。日本人でないと分からないモノマネに、バングラデシュ出身のユヌス氏は戸惑うのでは、と山口が心配するも、ゆりやんの真摯なメッセージはしっかりと伝わったようで、ユヌス氏自ら握手を求める一コマも。そして、山梨県、鹿児島県、沖縄県といった農業が盛んな県の住みます芸人から、地域特有の問題が紹介された。

続いて、こうして挙げられた数々の課題に対し、会場に集まった「ユヌス家族会議」に参加するスタートアップ企業の代表から、IT、ソーシャルメディア、IoT、映画など、それぞれの得意な手法による解決策を提案していくことに。シャッター商店街を使ったサバイバルゲーム、センサーで高齢者の家からデータを発信してお米などを配達するシステム、クラウドファンドならぬクラウドギャザリングで人を集める仕組み、などが提示された。

かくして、社会が抱える諸問題を、よしもとが得意とする「笑い」によって楽しみながら、ビジネスで解決する手助けをするというこのプロジェクト。イベントの最後にユヌス氏は「地域の人たちと一緒に考えて問題を解決することは重要です。だからこそ、47都道府県の住みます芸人という地域活性化のシステムは素晴らしい」と評価した。

よしもとが得意とする笑いの力で、社会問題を解決する取り組みは今後、より一層本格化していくはずだ。