一方、同世代以上の視聴者層の広がりを秘めたテーマの奥深さも本作の魅力の一つ。メディアジャーナリストの長谷川朋子氏は、「“逃げ恥”の原作者・海野つなみが描く結婚観は深い。だから、この作品も『30歳女子の幸せ探し』という王道のテーマながら、同世代の女性が共感して楽しむものだけに終わらないストーリー展開に期待あり。NHKドラマ10枠らしい骨太な演出によって、幅広い層に刺さるドラマになりそうな予感も」とコメント。同世代の共感を得ながらも、それだけにとどまらない展開を予想する。
お互いに影響し合うアラサー女性4人のキャスティングも絶妙だ。
数々のアニメで声優を務めるほか連続テレビ小説「まれ」(2015年NHK総合ほか)で地元の女性・マキをミステリアスに演じた中川、「純と愛」(2012年NHK総合ほか)のヒロイン・純役などガッツある演技に定評ある夏菜、「わろてんか」(2018年NHK総合ほか)で初めは女中、のちに部下としてヒロインを支え続けたトキを演じた徳永。そして「雨が降ると君は優しい」(2017年Hulu)では体当たりの演技もこなした佐々木だ。
テレビ・ドラマ評論家でコラムニストの木村隆志氏は「喜怒哀楽の大きい演技ができる女優4人がそろった。“女性の仕事、恋、結婚をシビアに描く”展開はドラマ10の必勝パターンを含み安心感が。昨年『雨が降ると君は優しい』で激しい演技を見せた佐々木が、一皮むけた姿を見せるのか。ボロボロになるシーンこそ輝きを放ちそう」とコメント。大人の女性をターゲットにした同枠で、彼女たちが見せる新たな一面に期待を寄せる。
アラサー女子の共感だけに終わらない期待感のあるドラマ「デイジー・ラック」は、自らの人生を考えるきっかけになるかもしれない。
【識者プロフィール】
●ライター 小田慶子(おだけいこ) テレビ誌編集者を経てフリーライターとなる。日本のドラマ、映画に精通しており、雑誌やWebなどで幅広く活躍中。
●テレビ・ドラマ解説者 木村隆志(きむらたかし) 各媒体に月20本を超えるコラムを提供し、「新・週刊フジテレビ批評」(フジテレビ)などにもコメンテーターとして出演する。
●お笑い芸人 橋爪(はしづめ)ヨウコ 2002年にデビュー。2014年からはドイツみちこと“こじらせハスキー”として活動。テレビ好きで、ドラマ関連の連載も持つ。
●メディアジャーナリスト 長谷川朋子(はせがわともこ) フランス・カンヌで開かれる世界のテレビコンテンツ見本市を約10年取材。エンタメビジネス事情が得意分野で、多くの媒体で執筆。
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