「情熱大陸」ナレーターが“極意”明かす「ナレーターが感情的になると、視聴者は感動できない」

2018/04/07 18:00 配信

芸能一般

情熱大陸」(毎週日曜夜11:00-11:30TBS系)が、この春ついに放送20周年を迎える。文化、芸能、スポーツなど、各界の第一線で活躍する人々に密着し、彼らの情熱を伝え続けて20年。視聴者の記憶に強く残る“神回”も数多く生み出してきた。そんな奇跡のドキュメンタリー「情熱大陸」の魅力に改めて迫るべく、番組のナレーターを務める窪田等を直撃。プロデューサーに「番組の屋台骨」と言わしめる、そのナレーション術の神髄に迫る。

番組開始以来「情熱大陸」のナレーターを務める窪田等撮影=源賀津己


ナレーターはあくまでも脇役


「毎回、職業も年齢も異なる人々の“物語”を読んできましたが、『20年も経(た)ったの?』というのが正直なところ(笑)。気が付いたら1000回、という感じですね。ナレーションをつける上で常に心掛けているのは、自分は決して主役ではないということ。私の役目は、主役である取材対象者の方を、『この人はこういう人なんですよ』と視聴者に紹介することなんです。

言葉を飾ったり、過剰に褒めたたえたりすると、その人の本質は伝わらなくなってしまう。だから声のトーンも抑えて『どうです、すごいでしょう!』ではなく、『すごいですよね?』くらいで(笑)、柔らかいニュアンスを心掛けています。

取材対象者のどんなところにスポットを当てるのか、その魅力をどう伝えたいのかは、ディレクターごとにかなり違ってきますし、構成作家によって台本の書き方も違うんですね。ですから私も、ナレーションに統一感を持たせようという気持ちは一切ないんです。“『情熱大陸』的な語り方”というものは存在しないんですよ。あるがままというか、あくまでも映像のテンポに合わせて語るようにしています」

「今までで印象に残っているのは、初めて生放送パートを組み込んだ『石巻日日新聞』の回。

東日本大震災で大きな被害を受けた新聞社「石巻日日新聞」の奮闘に密着(2011年9月11日放送)(c)MBS


最初、ナレーションが終わって2秒経ってCMに入る予定だったのが、もっと余韻を持たせた方がいいんじゃないかと、急きょ4秒空けることになって。ちょっと不安もあったんですが、いざ放送が始まってみると、本編の流れに身を任せているうちに、自然に間を取って語ることができていました。放送後に『どこが生放送だったか分からなかった』と言われたときはうれしかったですね」

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