――長らく引っかかっていたんですね。
そうですね。私的には純という人物を生き抜いたと思っているんですけど、思った以上に周りの反応がよくなくて、その温度差がすごく悔しかった。私は朝ドラでやり残したことはないんです。「こうすればよかった」とかは思っていません。
「純と愛」の純だから、異色のヒロインだから私が選ばれたと思ってますし。私は元々朝ドラヒロインってタイプじゃないですからね。でも私じゃなきゃ純を走り抜けられなかっただろうなって思います。
脚本の遊川和彦さんが厳しかったとかいろいろ報じられてましたけど、それは切磋琢磨なんですよ。愛情もたくさんある人で、私もそれに応えようという気持ちでやってたんで。
純ちゃんが世間に受け入れてもらえなかったことが悔しかったですね。「なんでみんな分かんないの?」みたいな(笑)。純という人はその時の私でもあったから。私は私よりも純でいる時間のほうが長かったから、世間に否定されることは私を全否定されてるように感じていたんですよ。
――そういう分析も、年齢を重ねてきた今だからできるようになったんでしょうか。
そうなんですよね。5年かかって、やっと「純と愛」の話を掘り下げて話せるようになりました。それまではやっぱり、落ち込んじゃって落ち込んじゃって。とにかく自信もなくなっちゃって、何をしてもうまくいかないし、何をしても「純と愛」のイメージが離れないし、生きづらかったですね、それまでは。
みんなが敵に見えちゃって、人との接し方もよく分からなくなっていました。記事にされたことが全てだと思われていないかなとか、いろいろ不要な心配をして、人と話すのもの嫌になってましたね。
かかりました、時間。5年はかかったけど、時間が解決してくれた点もありますし、やっぱり「ダウンタウンなう」に出てからですかね。ぶわーっと言ってから楽になった部分があって、出てよかったと思っています。
一緒に作ってくれたスタッフさんとか、キャストのみんなはどう思っているのか分からないけど、私的にはあそこでちょっと区切りができたっていうか。なので今は楽しくお芝居できています。変に構えなくなりました。荷が降りたというか。
――徳永さんが記者会見で「アラサーに近づくにつれて身軽になっていく」とおっしゃっていましたが、まさにそれが今なんですね。
あれはすごく共感しました。隣でそれを話してるときに「ああ、そうだよね」と思って。自由度が高くなっていくというか。20代のときって、こうでありたいとか、自分はこうじゃなきゃいけないっていう、理想や制約がすごく強かったと思うんですけど、そうじゃなくていい。20代後半で自分を自分として受け入れられるようになり、30代で自由になっていくんじゃないかなと思っています。
――そんなアラサー女性が次のステージに踏み出す様子を描いている本作ですが、最後にこの作品の好きなところを教えてください。
そうですね、薫の一番の見どころは…顔芸かな(笑)。ははは。自分ではそんなつもりなかったんですけど、薫は話が進むにつれて、だんだん顔芸が多くなっていきます。それも、私がコント番組やバラエティーにいっぱい出させていただいてきたからこそできるものだと思っています。
あと、薫は「ひなぎく会」の中で唯一のツッコミ役なんです。ツッコミってすごく難しいですけど、それもコント番組とかの経験がある私が唯一できることだなと思っているので、ノリツッコミなんかもぜひ注目してもらえたらなと。そこが楽しいですし、やりがいのあるところかなと思います。
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