兵藤「続いて、吉田さんの“内面”についてお聞かせください。まず、女優業を志したきっかけは?」
吉田「志したきっかけは…実はありません(笑)。ただ学生の時に周りが就職活動をする年齢になって、ふと私は会社勤めに向いているのだろうかと思ったんです。それで考えてみたら、満員電車も嫌いだし、尊敬できない上司に頭を下げるのも嫌だなって(笑)。でも、そしたら自分は何をしたいのか。そう考えた時に、そういえば昔から私はおままごとが好きだったなと思い出しまして。自分じゃない何かを演じること、なれることが好きだということは、もしかしたら自分でも気づかないうちにすごくお芝居がやりたいのかも…と漠然と思ったんです。それで舞台の世界に飛び込むことを決めました」
兵藤「吉田さんは舞台の世界から、映画やテレビドラマといった映像の世界に入られましたが、その当時は自分のお芝居に何か変化はあったのでしょうか?」
吉田「そうですね…。目に見えるところで言うと、映像だと画角サイズに最初は慣れなくて戸惑いました。舞台ですと、お客さんは俯瞰(ふかん)で全体を観てくださるので、私がどんな動きをしていても全身を観ることが出来ます。でも、映像つまり画角サイズになると、顔なら顔だけしか映ってこない時もあります。例えば何かを飲んでいるシーンを撮影する時に、リアルにやったらあり得ないんですけど、画角に入ってないから顔まであげてくださいと、不自然な体の形になることがあるんです。それはこれまでの現場で実際に監督さんから『羊さん、そこ画角に入っていません』と言われることがたくさんありましたね。でもそのことにずっと違和感を抱いていたのに、ある時気がついたら自然と出来るようになっていたんです。それに気が付いた時には、私は汚れちゃったなと思いました(笑)。リアルな気持ちとリアルな体の形で芝居をしてきたはずなのに、自分のテレビ映りを気にするようになって…ちょっとショックを受けた時期もあります。でもオンエアを見ると、やっぱり見たくなるんですよね、顔が。顔が見たいし、その人のお芝居がちゃんと見たい。そのためにはテレビ用に感情を合わせていくというやり方もあるんだなと、納得することが出来ました」
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