兵藤「当時はそんな苦悩を抱えていらっしゃったんですね」
吉田「はい、それから心の変化で言うとプロ意識の違いかなと思います。小劇場の舞台に立っていた時は、多くの俳優が(本業では)生活の成り立たないような状況だったので、アルバイトをやっている人がほとんどでした。しかもギャラが出ない舞台なんて珍しくなくて、出たらむしろラッキーに思えるほど。それが映像の世界に移って、お芝居の対価としてきちんとギャラを頂けるってなった時に『私は本当にこれで食べていくんだ。これで稼いでいくんだ』とようやく実感して、その時が初めて自分にプロ意識がきちんと備わった瞬間だったかなと思います。あとは出演作品を重ねていく中で、任される役の大きさが変わってきて、その作品の中で自分が担うべき責任と言いますか。そういう責任の配分が大きくなってきた時に『自分もこの作品の一部なんだ。自分がこの作品を担っていくんだ』と責任感がより強くなっていきましたね」
兵藤「最後に、ご自身のメンタルを保つ方法があれば、教えていただけないでしょうか?」
吉田「私も結構落ちるときは落ちますし、悩みますよ(笑)。でも、わかりやすいところで言うと、寝ます! 寝て朝が来たら、もうそこは新しい朝になっているので、昨日までの自分じゃないという風に、もう自分で自分に言い聞かせていますね。今日からまた新しい一日! みたいな(笑)。実際物理的にもそうですし、昨日がダメだったからと言って今日もダメなわけじゃない。必ず朝が来るっていうのは、人間にとっての救いだなと感じますよね。でも、私は正直あまり深く悩まないかも…。悩んでいても、結局自分の中でよく考えてみると、答えって実は決まっていて、そこにたどり着くまでにちょっと迷っているだけなんだと思いますよ。常に自分の心と向き合って、自分の心を聞いていけば、大きな泥沼にはまるようなことはないのかなと」
取材・文=竹内巴里
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