4月21日(土)、沖縄・北谷町のミハマ7プレックスで「島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭」特別招待作品『のみとり侍』が上映され、舞台あいさつに主演の阿部寛、鶴橋康夫監督が登壇した。
同作品は、ひょんなことから上司に大恥をかかせ、左遷されてしまう越後長岡藩のエリート侍・小林寛之進が、左遷先の添寝業で、ある女性に意気消沈するも、1人の男性に出会うという物語。小林寛之進役を阿部寛が演じ、寺島しのぶ、豊川悦司、斎藤工、風間杜夫、大竹しのぶ、前田敦子、松重豊、桂文枝など豪華俳優陣が集結した作品となっている。
30年ほど前に小松重男さんの短編集「蚤とり侍」に出会って以来、映画化を熱望し続けていたという鶴橋監督。原作のどういう点に魅力を感じたのかという質問に「基本的には不条理。生真面目すぎる性格が災いして、猫の“のみとり業”に左遷されたエリート藩士の悲哀は、現代に通じるものがある。僕もTV局のサラリーマンだったから分かりますが、現場で頑張っていた人間が、ある日突然、転勤で別の部署へ。そんな時は布団でむせび泣くしかないですよ」と語り、観客の共感を得ていた。
また、本作で阿部を主役に選んだ理由を問われると「僕は、阿部さんの一番のファン。出演作は全て見ていますが『ドラコン桜』くらいから才能と魅力が一段と開花しましたよね。本当に素晴らしい俳優。主人公はぜひ彼に演じて欲しかった」と熱弁。
その鶴橋監督の熱い思いに対して阿部は「この作品は、自分の原点にかえったような気持ちです。実はデビューしたばかりの頃、鶴橋監督の情熱や大きな愛情に触れる機会があり、いつか監督の作品に出演できるように頑張ろうと思ったんです」と返すなど、ふたりの相思相愛ぶりが伺えた。
さらに鶴橋監督は、ノーネクタイで現れた阿部とお揃いにするため、舞台あいさつ直前にネクタイを外したというエピソードも披露。そして「今日は奇跡のような日だ。ここに立っているのが不思議で、今までの人生で一番うれしい!」 とヒートアップ。そのまま客席に直進し「映画、どうだった?」と観客にマイクを向ける場面も。会場はほとばしる鶴橋監督の「阿部さん愛」と作品への情熱に圧倒されながらも、あたたかい空気に包まれた。
映画『のみとり侍』は5月18日(金)公開予定。