“正解がない奥深いケータイドラマ”に大東俊介が出演

2010/05/10 14:52 配信

芸能一般

企業側に自分たちの思いをぶつけるため、採用面接に乗り込む玲奈、ケンイチ、岩城

KDDIがauユーザー向けに配信している映像コンテンツ「LISMOオリジナルドラマ」。そのシリーズ第13弾「就活戦線異状あり」に大東俊介が出演している。

本作は、大学生の玲奈(忽那汐里)をリーダーとするサークル“プレカリアート研究会”=プレカリ研のメンバーたちの姿を描いた物語。玲奈をはじめ、プレカリ研に所属するケンイチ(大東)らは、採用面接の際に日本経済の問題点を各企業に突き付けることを計画。その一点に情熱を燃やしてきた玲奈だったが、将来のことを考えたメンバーたちはそれぞれ別の行動を取ることに。就職活動の中でさまざまな思いに揺れる学生たちの姿が描かれている。

現在24歳の大東が、実年齢に近い就活中の学生・ケンイチを熱演。彼の就職活動はやや訳ありだが、本作への出演を通じて“社会”や“就職活動”について考えたそうだ。

―――今の社会状況を考えるきっかけになったそうですね。

僕自身もそうですけど、やりたいことをやっている友人が多いので、就職ということにあまり実感がなかったんです。でも、この作品を通して就職活動ということについて考えました。ケンイチという役は通常の就活をする学生とは違う立場でそこ(面接会場)に立つことになるので、ちょっと余裕があるんですよ。“採用されたい”とは思っていないわけです。ほかの学生たちの「何社受けたのにまだ決まらない…」というような会話がありますけど、それがリアルな現状なんでしょうね。

―――実際に大学生だったらどんなサークルに入りたいですか?

楽しく過ごしたいです(笑)。映画研究会にあこがれますね。そういうところの出身でプロになっている方もいらっしゃるじゃないですか。一番自由な形で好きなことをできてるのは面白いですよね。ひたすら映画を見るのもいいし、自分たちで撮るのもいい。両方やりたいな。

―――映画サークルで“楽しみたい”と感じる大東さんからすると、プレカリ研のように大まじめなサークル活動をする学生たちに違和感はありませんでしたか?

それはなかったかな。このサークルはこういうものなんだと思えましたし、自分の好きなことをやるのがサークルなんでしょうし。むしろ、作品全体が“社会に対する違和感”をテーマにしているわけですから、そっちの方が強かったですね。プレカリ研の部室にちょこっとやって来た友達が、玲奈とケンイチについて「どうせあいつら、お嬢さまとおぼっちゃまだろ」って言うせりふが印象的ですね。社会構造の中で上層階級にある家庭の子女たちがプレカリ研をやっているという違和感。このサークルは、1つにまとまっているようで、いろんな価値観を持った人間が集まっています。別の言い方をすると、社会の中での出来事が実はプレカリ研の中にも凝縮されていて、社会の矛盾がそのままサークルの中にもあるとういことですから相当奥深いでしょ。

―――1話5分のショートドラマとは思えないぐらいの濃度ですよね。

すごいですよ。誰でも持っているケータイで手軽に見られるだけでもすごいのに、これだけテーマがしっかりしていて。プレカリ研のメンバーは、ひょっとしたらそれぞれの考え方について「それは違うよ!」って言い合うかもしれないけど、じゃあ実際に誰が正しいの? っていう答えは出ないと思うんですよ。一番しっかりと目標意識を持っている玲奈でさえ、企業に対して言いたいことを言った後、その返事を受けて反論できなくなってしまう。それは企業側の意見も正しいからなんですよね。だけど、玲奈の言っていることも分かります。

―――見方がいろいろある本作ですが、どの辺が注目ポイントでしょうか?

この作品については僕もいろいろ考えたんですけど、結局、答えは見つかりませんでした。でも、その“答えが出ない”という状況こそ、社会に出るということなのかもしれない。 “自分なりの答え”を見つけていくしかないんじゃないでしょうか。友達と一緒にこの作品を見ても、それぞれで違った見解を持つことになると思います。答えが決まっているものって山ほどあるけど、見た人それぞれしか答えを持っていない作品ってめったにないでしょ。だから面白いですよね。あと、単純に「この学生たち、すげぇことに一生懸命になってんな…」という部分も(笑)。本気で何かに取り組んでいる人を、本気で描くと面白いんですね。

取材・文/大小田真