そして、最大の魅力であると同時に彼の役者魂をたき付ける存在となったのが役所広司だ。
「以前、『日本のいちばん長い日』(2015年)でもご一緒させてもらいましたが、物語的に深く絡めなかったんです。今度は相棒になってガッツリ組める、こんな機会はそうそうないですよ。とても勉強させてもらいました。例えば、現場でのたたずまい。大上はヤクザや同僚にも慕われる存在ですけど、役所さん自身もいろんな方と気さくに話す。でも、『日本のいちばん長い日』では、陸軍大臣役だったらから近寄りがたい空気を放っていたんです。役柄によって現場での愛され方を変え、そうした部分からも役に寄せていくのは本当にすごいなと思いました」
平然と法を破る大上に翻弄されつつも、刑事として男としての生き方を継承していく日岡。そんな関係は演技の上でも影響を与えた。
「大上と日岡は、上司と部下だけど父親と息子のようでもある。大上の背中を見て、必死に食らいついて彼の血みたいなものを受け継ぐんです。僕も役所さんの背中を見ていたいと純粋に思いながら、一緒の時間を過ごさせてもらいました。そうしていると、大上を演じる役所さんが暴れたり、理不尽なせりふを放つと、こちらも『俺の方が刑事としてまっとうだ!』と自然に思えてくる。そこは芝居する上で重要なものになりましたね。日岡という男を演じさせてもらい、役所さんを筆頭にさまざまな方から刺激を受けたことで、30代、40代になっても役者としての幅を出せるための引き出しが増やせたという手応えを感じています」
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