――感動的なシーンがカットされていることは、どんな効果をもたらしたのでしょう?
松岡:多くは言えないですけど、終盤におけるサクラさんのアップのシーンが、すごくビビッドに見えましたよね。
あのシーンのために、サクラさんだけじゃなく、その他のキャストの皆さんのシーンも含めて、感情がぶわーっと出たところを、全部カットしたのかな?と勘ぐっちゃうくらい。
同性として、あんなお芝居をする先輩がいるって、幸せだなと思いました。
リリー:あのシーンだけで、映画賞を8つくらいは取りますよ。
――クランクインは、中盤で一家が海を訪れるシーンだったとお聞きしました。どんな雰囲気でしたか?
リリー:あの時点で、台本がないのに「初めまして」みたいな感じで。
松岡:プロット(あらすじ)みたいなものはありましたよね。
――城桧吏くん演じる息子の祥太が、佐々木みゆちゃん扮(ふん)する娘のゆりと一緒にはしゃぐ亜紀に対して向ける視線が印象的ですね。
リリー:あそこの茉優ちゃんの胸の谷間、平成の名シーンでしたよ!
松岡:(照れながら)ずっと言ってくるんです!
リリー:意外とあるなと思った(笑)。
松岡:ひっどーい!(笑)
――リリーさんが4度目の是枝組だった一方で、松岡さんは今回が初の是枝組でした。亜紀は「勝手にふるえてろ」で演じられたヨシカと“秘密を抱えている”という点で通じますが、アプローチにはどんな違いがありましたか?
松岡:「勝手にふるえてろ」と全く逆だと思うのは、あの作品では私が15年やってきて、お芝居の先生から教わってきたメソッドやジンクス、自分のパターンなどをガチガチに固めて現場に持って行ったんです。
でも今回は、それをやっていたらOKが出なかったんですよ。
――最初はそちらの方向でお芝居をしていた?
松岡:そうしないようにしていたんですけど、一個でもそれが入ると、OKが出なくて。「あ、ばれた」と思いました(笑)。なので、今回はそういうものを全部なくして、「初めて現場に来ました!」という気持ちで演じたんです。
リリー:是枝さんは“試しにやってみた芝居”を見抜くから。すぐに「今のも良いと思うんですけど、違うのありますか?」ってなるよね。ばれるんですよ。「ここは逆にこうやってみようかな」みたいな役者の策略を見抜かれてしまうんです。
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