――この舞台との出会いについて教えてください。
2012年に別のプロジェクトで上演された「スペリング・ビー」に、副校長のダグラス・パンチ役で出演しました。
実は、(カウンセラーの)ミッチ・マホーニー役をやりたくてオーディションを受けたんです。
彼が歌う曲を歌いたい思いがあってね。その後新たに上演が決まった2016年に、演出をやらないか、とお話を頂いた。見知った作品で、面白い作品だったのでやってみようと。
――これまで何度も縁があるこの「スペリング・ビー」の魅力をどのように感じていますか?
登場人物の子どもたちは、それぞれにたくさんの問題を抱えています。友人関係、家族問題、イジメ、競争、ストレス、葛藤、生まれ持った性格や障害。
それでも「スペリング・ビー」の予選を勝ち抜いた。子どもたちの思いや、チャレンジしようという気持ち、負けるということを受け入れるという、いわば成長、そうした部分は、見る人の経験に通じるもので、共感を呼ぶテーマだと思います。
――その例を、いくつか教えてもらえますか。
例えば、リーフ・コニーベアという安全ヘルメットを持って出場している少年は、地方大会では3位になったけれど、繰り上がりで出場している。彼はとても記憶力がよいのだけれど、何かしら障害のようなものを抱えている。
彼のキャラクターには、敗者の痛みも勝者の痛みも包含されています。女性ではオリーブ・オストロフスキー。彼女の家庭は崩壊してしまっている。
「辞書が友達」で、「2番になんてならない」と言い続けていた女の子。けれど大会を通じて、彼女には人に対して"許す心”が芽生えていく。
それまで譲れなかったものへの考え方が変わっていきます。問題を抱えていた子どもたちはみんな、「スペリング・ビー」を通じて一歩を踏み出すという、成長する姿が描かれているんです。
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