東京・CBGKシブゲキ!!にて上演されていた「信長の野望・大志 -春の陣- ~金泥の首編~」が、去る5月27日に千秋楽を迎えた。「信長の野望・大志」は同名の歴史シミュレーションゲームを題材に、「SIDE織田」「SIDE浅井」という視点の異なる2パターンの公演を交互に上演したダブルストーリーの稀有な舞台。2人の主人公――織田信長は俳優・鶏冠井孝介が、浅井長政は俳優・小西成弥が務め、信長の妹・お市はモーニング娘。6期メンバーの田中れいなが好演した。
千秋楽では続編「-冬の陣- 王道執行 ~騎虎の白塩編~」の予告映像も披露され、こちらは11月8日(木)~12日(月)、東京・シアター1010にて上演予定となっている。鶏冠井、田中の続投も決定。次回は「SIDE織田・徳川」「SIDE武田・上杉」でのダブルストーリーで描かれる。稽古中のインタビューから追いかけた本舞台最後のレポートは、続編に向けての高まりも込め、鶏冠井、田中、小西たち総勢31名の振り返り、そして公演後に取材した鶏冠井、田中のコメントを紹介する。
永禄3年(1560年)。尾張の織田信長が桶狭間の戦いで今川義元の大軍を打ち破った数か月後、近江では浅井長政が野良田の戦いで六角軍を撃破。時同じくして戦国の雄として表舞台に現れた2人は同盟、敵対を経て、天正2年(1574年)に長政が城にて自害したという史実がある。
長政の死までを描くということで、この14年に及ぶドラマを2時間30分に圧縮するのかと思いきや、ゲームがプレイヤーの操作で歴史を動かしていくように、平成の記憶を持つ信長と長政――輪廻のようなものか、平成の何者かの記憶が宿ったのかは受け手の想像に委ねられる風だった――は、史実とは異なる歴史へと道を変え、その先で長政は史実より早く散っていった。
舞台をゲーム内世界、信長、長政をプレイヤーとして捉えることもできるが、なりきり劇ではない。自身の最期を知る故に、より良い未来を夢見る2人の姿は、歴史に抗おうとする人間ドラマとして描かれ、徐々に史実からずれていく物語は先の読めない展開に。「そこが変わったらこの先は…!?」と、史実の重要事項が塗り替えられていくのだが、ここがダブルストーリーの妙でもあった。
交錯し、並行する信長と長政の行動を分岐エピソードの形で見せ、「SIDE織田」「SIDE浅井」の両編でまったく違う劇を展開。パズルのピースをはめるように相手側の行動が見られる面白さというのはもちろん、信長と長政にどんな事情、思惑があったのか。それぞれへ視点を絞ることで感情移入の深いパートに仕上げられていた。
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