向井理が「そろばん侍」の裏側を語る!【後編】

2018/06/13 12:00 配信

ドラマ インタビュー

役者は制限された方が面白いんですよ


──“時代劇だから”とあまり身構えず楽しめる作品ということでしょうか?

「時代劇だから見てください」ってことではないですね、見ている人は現代の人なので。

じゃあ、なんで時代劇をやるんだってことだと思うんですけど…。

今この時代に当時の生活をするとなると、携帯電話がない、ガスもないって、いろいろなことを制限していくことになると思うんですが、その今ある便利なものをどんどん剥ぎ取っていって何が残るのか、という部分で勝負しているのが時代劇って作品だと思うんです。

現代からすると不便だけれど、当時の人たちにとっては不便ではなくその時代の最先端を生きている。現代を生きる僕らからしたら何もない状態で、その中で何を表現できるのかっていうのが時代劇の面白さだと思いますね。

役者って、あれをするなこれをするなって制限された方が面白いと思うんですよ。

──制限がある中でいろんなものを削っていって、そこで何ができるのかというのが醍醐味(だいごみ)なんですね。最後に改めて向井さんの思う作品・時代劇の魅力を教えてください。

人間くさい人たちしかいないんですよね。もちろんうそをついていたり、人をだましている人はいつの時代もいると思うんですけど、でもそういう人たちもすごく人間くさくて。

データや情報より、単純にお金のために働いて、それで家族を養う人や私腹を肥やす人がいる。情報化社会になると誰がどこにいるとか、こんな話をしたとかそういうのが1つの価値になりますが、今回に関してはお金。その意味では渡り用人は最前線にいる人ですから、事件に関わりやすいですし、原田泰造さんが演じる渋井のような同心、いわゆる警察の人と関わるのも自然な流れだなと思っています。

市兵衛のすることはお金の計算なので、分かりやすく執着するのがお金なんですよね。だからシンプルでいいなって思います。

あと時代劇って、“日本のお家芸”じゃないですけどエンターテインメントのある種原点だと思うんです。

時代劇のような、例えば「水戸黄門」みたいな“勧善懲悪”の作品って今も結構はやっていて、池井戸潤さんの作品なんてまさにそうですよね。分かりやすい悪やライバルを置いて、ヒーローがそれを乗り越えていく過程を楽しんでいる。

時代劇が日本人の作り出したエンターテインメントの原点だからこそ、今でも同じような形式の物語が愛されているんだと思います。

第2部(6月16日、23日、30日に放送)では呉服屋に奉公することになる(C)NHK


第4話(6月16日[土]放送)のあらすじ


市兵衛(向井)は呉服屋・磐栄屋に勤めることになる。しかし店主の天外(高橋克実)が何者かに襲われ重傷を負ったり、幕府から土地召し上げの達しが来るなど店は物騒な雰囲気だった。そんな中、市兵衛は天外の娘・お絹(小芝風花)の買い付けに秩父まで同行する。一行は買い付けの帰路に襲撃される。

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