――この作品のオファーを受けた時、どんなお気持ちでしたか?
原作を読ませてもらい、面白い本だなというのが最初の感想でした。主人公がひと言も発することなく、それでいて“武士道とはなんたるか”を説いている。この設定を思いつかれた浅田さんが素晴らしいですよね。
ただ、これを映像化するというのは、パンドラの箱を開けることに近いなと懸念していました。「主人公がしゃべらない」って普通に考えたらリスクの高いことですよね。でも僕は、石橋を壊して泳ぎたい人間なので(笑)、これは面白いなと思いましたよ。
――むしろ燃えたのですね。
近年時代劇がコメディー路線でヒットしていることもあり、そちらに話が振られていたら、タイプ的にも技量的にもできないと思ったので「そちらじゃないですよね?」という確認はしました。
――実際に脚本を読むとコミカルな雰囲気に感じました。
僕もそう思ったんです。でも、スタッフから「周りの人々は六兵衛に対して一生懸命だから面白く見えるんだ」と説明していただいたので「なるほど。それなら分かるな」と。
――六兵衛についてはどのような印象を受けましたか?
一言で言えばクール。言葉を形にしないで人々に「意」を伝えられるって究極の存在ですよね。何もしないでいることで、ご覧になった方が「なんでこいつは長時間じっとしていられるのだろう」「あっ、今は哀しいのかな?」とか勝手に想像していただくことが大切なのかなと思います。
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