――駒井さん自身も、どれが本当の自分なのか分からなくなることはありますか。
実家の青森にいた時や友達と一緒にいる時は、素のままの自分だと思っていました。
でも、撮影に入る時に戸田監督から「駒井蓮としても薄い壁があって、さらけ出せない自分がいたり、ちょっと隠している部分があるよね」って言われて、私もそうだったんだと気付かされたことがあるんです。
この作品を見た時に、自分は素のまんまだと信じていた人も、もしかしたらどこか心を開けていない部分があるのかもしれないと気付くきっかけになればいいのかなと思いました。
――“おじさん”と笑子を見ていて、二人の関係がこのまま続いたら面白いだろうなと思っていました。
私も思いました(笑)。お互いに隠し事があったにせよ、二人でいた時間はやっぱ
り消えないですし、とても大切で温かい時間。“おじさん”と一緒にいるシーンを撮っていくうちに、このまま離れたくないなと思いました。
――そんな“おじさん”(正男)を演じた津田寛治さんの印象は?
私にとっては大先輩ということもあって、お会いするまではすごく緊張していました。でも、津田さんは最初からとても優しくて。私を緊張させないように、いろいろ気を使ってくださいました。
撮影が進むにつれて“おじさん”の表情が険しくなるシーンが多くなっていったんですけど、津田さんはずっと変わらず朗らかなまま。結構おちゃめなところもあって(笑)、撮影の合間にお話している時間が楽しかったです。
――撮影中、苦労したシーンはありましたか?
学校のシーンですね。松本(穂香)さんが演じた理帆や友達との距離感、どれくらい自分をさらけ出していない部分があるのか。一緒にいるけど、そこには本当の自分じゃない自分がいる、そのニュアンスを出すのが難しかったです。
友達同士って、どこまで仲が良いのかは傍から見ても分からないところがあるじゃないですか。そういう感じをどう表現したらいいのか、自分なりに考えながら演じていました。
――いろいろな思いを抱えた笑子が、校庭で感情を爆発させるシーンはとても印象的でした。
あれは、榎本(勧修寺保都)が悪いんですよ(笑)。
――確かに、あのシーンの榎本は男の悪い部分が出ていたような気がします…。
榎本は笑子と正反対のキャラクターで、思ったことを何も考えずに出しちゃう人。
客観的に見たら面白いかもしれないですけど、笑子は自分ができないことをまんまと簡単にやってしまう榎本にいら立ちを覚えているんです。
そんな笑子の思いを抱えながらの撮影は私自身も苦しかったですし、ずっと正直ではなかった笑子がようやく溜まりに貯まったものを吐き出せたシーンだったので、いい意味で気持ちが良かったです。
私も笑子と同じ高校生で、友達は進路を含めていろんな不安や悩みを抱えながら、学校生活を送っている時期。
もちろん、楽しいこともいっぱいありますけどね(笑)。それは、きっと笑子も同じだと思うので、そんな笑子の姿を見て学生の方に共感してもらえたらうれしいです。
幅広い世代の方に見ていただきたいのはもちろんですけど、特に学生の方に作品を通していろんなことを感じていただけたらと思います。
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