7月12日(月)から東京・赤坂ACTシアターで開催される「赤坂大歌舞伎」の制作発表会見が都内で行われ、出演者の中村勘三郎、演目の補綴(ほてつ)を務める山田洋次映画監督らが出席した。
'08年9月に最新設備を誇る劇場・赤坂ACTシアターで、「江戸みやげ 狐狸狐狸(こりこり)ばなし」と歌舞伎舞踊「棒しばり」という喜劇を上演し、歌舞伎通だけでなく、歌舞伎に慣れていない初心者からも大好評を得た「赤坂大歌舞伎」。およそ2年ぶりとなる今回は、前回同様に誰もが楽しむことができる、名人・三遊亭円朝の落語を基にした、笑いあり、涙ありの人情喜劇「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」と、女形のホープである中村七之助による東京初公演で、娘の姿をしたサギの化身が恋の苦悩を踊りで表現する「鷺娘」の2本が上演される。
「人情噺文七元結」は、'07年10月の東京・新橋演舞場での上演と同様、映画界の巨匠・山田監督が補綴で参加。勘三郎は山田監督とのコンビに大きな手応えを感じていて、「(この機会で)初めて歌舞伎を観られる方が多いと思うので、(話が)分かりやすく良いもので、今回は涙もほしい、と考えたら、以前、山田監督に補綴をしていただいた『―文七元結』を思い付きました。その時、初めて監督とお仕事させていただいたんですが、監督が直したものは最後のところが今までのものとは違う。わたしはこれまで演じてきたものに慣れていたので、半信半疑だったけど、監督の言われるとおりやってみました。それを、(歌舞伎舞台を映像化した作品である)『シネマ歌舞伎』で観たら、自分で自分の芝居に大笑いしてしまったんですよ(笑)。自分の芝居で笑ったの初めてです。だから、当時違和感のあったところは、今回は自信をもって演じられると思います。いい話ができると思うので期待してください」と、確かな自信を持ってアピールした。
補綴として脚本に手を加えた山田監督は、「(―文七元結は)明治時代から演じているものだから、そんな脚本に手を加えるなんて本来は許されないはずだろうと。でも、どうしても気になるところがありまして、そのことを勘三郎さんに言ったら、彼が『直してくださいよ』と言ってくださって直しました」とその経緯を明かし、「(直しの)一番のポイントは終末のところ。落語だとばかばかしいけど“ほろっ”と終わってしまい、従来の歌舞伎はひとつ段取りを踏み過ぎていて、締まりがない。このところは、何とかならないのかなと思っていて、だから今回の話の最後は、従来よりかなり陽気になっていて、それが喜びとも悲しみとも言えない涙になって終わっていくのかなと、いろいろ考えました。基本的には、この話はもっともっと笑えるはずだというのが、狙いです」と見どころを語った。今回は、そのものからさらに手を加える予定で、山田監督は「いろいろプランがある。(勘三郎さんと)これから相談して、(話に)磨きをかけていく感じですね」と自信をのぞかせた。
また、赤坂で歌舞伎を公演することについて勘三郎は「(赤坂の土地柄)舞台が終わったらすぐにご飯を食べに行ける(笑)。歩いてすぐのところに、行きつけの飲み屋もすし店をある。でも、そこで歌舞伎を観終えたお客さんと会ってしまう(笑)。でも、それもいいんです。ニューヨークなんかもそうなんですよ。“土地”でやらさせていただいている感じがしますね。(前回は)道路工事のカードマンの方にも『がんばってください』と言われましたから(笑)」とその魅力を語る。さらに、赤坂にあるTBSで冠番組を持つ和田アキ子が、今回の公演を観に来ることを明かし、「アッコさん(和田アキ子)が20人ぐらい従えて観に来てくれるそうなので、その時はアドリブかましてやろうかなと(笑)」と、“大物”の来訪にも余裕を見せた。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)