内村宏幸「『LIFE!』は20代前半から30代くらいの層…今すごく、空いてます!」<脚本家たちのLIFE!>

2018/08/05 10:00 配信

バラエティー インタビュー

【写真を見る】壁を突き破り「ごめんなさい!」と叫ぶ彦助(C)NHK


「まっすぐ彦助」はものすごいせっかちな人


――普段、どういうところからコントの着想を得ているんですか?

僕は身の回りに起こったことですね。自分が目撃したり体験したことや、人から聞いたことを基に書いています。

あんまり想像力がないので、妄想とか空想ではできないんです。だからこの世に存在しない生き物とかは考えられなくて、どこか周りにいそうな人物がモデルになっています。

実は「まっすぐ彦助」もそうなんです。もちろん壁を突き破る人がいたわけじゃないですよ(笑)。

あれは、“せっかちな人”だから、我慢できなくて、相手の都合を考えずに来ちゃうっていうことなんです。そういうものすごいせっかちな人っているじゃないですか?

知り合いにそういう人がいたので、それをデフォルメしてコントにしました。玄関を通るのもままならないくらいのせっかちっていう(笑)。

――彦助の妹の彦美(石橋杏奈)というキャラクターの登場も、最初から考えていたことだったんでしょうか?

あのキャラクターは、シリーズの2本目を撮影したときに、なにか物足りなさを感じて、あのコントがマンネリ化していくのを防ぐために考えました。

ふと「妹がいたら面白いな」と思って、バカなきょうだいのやり取りが見えたので、登場させました。あとは、石橋杏奈さんがすごくイメージ通りに演じてくれたので、そこが成功した要因だと思います。

石橋さんに演じてほしいとは思ったものの、最初は断られるかもと思っていたんです。だって眉毛つながってるし、変な格好だし。でも意外とノリノリでやってくれたので、良かったです。

――今まで内村さんは「祝女」(2010年~2012年、NHK総合)などNHKのコント番組に多く携わっていますが、「LIFE!」の一番の特色はどんなところだと思いますか?

やっぱり芸人さんと役者さんが一緒にやっているというところじゃないでしょうか。

芸人さんと役者さんって演技のアプローチの仕方が違うと思うんです。だから、僕たちが想像していた以上のものが出来上がっていくのかなと思います。

――どういう違いがあるんでしょうか?

これは僕の個人的な見方なんですけど、役者さんは最初のリハーサルからせりふが完全に頭に入っていて、本番まで変わらないんです。芸人さんは、リハーサルの段階では声もあまり出さないんですけど、本番に入ると急にドーン! とテンションが上がって、アドリブを入れたりするんです。芸人さんは、本番で何かを仕掛けて「スタッフも笑わせてやろう」という考えの方が多いんですかね。

そんな違いのある人たちが組むので、芸人さんのアドリブに役者さんが何とか対抗しようとしたり、役者さんもつられてアドリブを入れたりするのが面白いです。そういう、本人たちも計算してない“ノリ”や空気感は、台本に書いてしまうとつまらなくなるんですよね。

――本当にさまざまな方が番組に登場していますよね。

ありがたいことに、出たいとおっしゃってくれる方がたくさんいます。芸人さんも本当に多くて、コントがやりたいんだけどやれる番組が「LIFE!」くらいしかないんですよね。

でも、なかなか譲らない人たちが出てるから(笑)。おじさんたちが頑張っちゃってるから、彼らを超える勢いのある若手の方が来ないと出られないんですよね。しかも、みんな力のあるおじさんたちですから、なかなか難しいですよ。

この2~3年は本当に想像もしていなかったような人たちが出てくれて、番組を長く続けてきたことで役者さんたちにも「この番組なら出てもいいかな」と思ってもらえるようになってきたのかなと思います。

役者さんに、「(コントで)アドリブに対応できなかったらと考えると怖い」と言われることもあって、その気持ちも分かります。でも、「LIFE!」は意外と台本通りな部分が多いですし、攻撃的でもないので(笑)。その場の勢いだけで作っているわけではないと分かっていただけたからこそ、皆さんが「出たい」とおっしゃてくれているのかなと思います。

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