――同じ役柄と向き合い続ける難しさや、面白さはどのようなところにありますか?
糸村は、何においても制限が掛かってないような人物で、意図して起きたことや、意図せずにその場で発生してしまったことに関しても、糸村というパッケージに放り込むと何となく成立してしまう。そこが、演じている上での面白みの一つになっています。
過去に対する謙虚さと、これからに対する果敢さは、同様に踏まえて臨みたいです。
――上川さんご自身の7年間では、どのような変化や発見がありましたか?
僕の経験は、演じる役から頂くことが多いので、出会ってきたキャラクターの数が、今の僕を作っていると思います。
直前で言えば、「執事 西園寺の名推理」(テレビ東京系)で演じた執事の知識や、立ち振る舞いを経験した僕が、あらためて糸村を演じる。それはとても面白いことだなと思います。
――「執事 西園寺の名推理」(テレビ東京系ほか)の第6話で、上川さん演じる西園寺が“3分”だけ時間を許されるシーンが、「遺留捜査」の糸村の決めぜりふとかぶっていると話題になりましたね。
あれは、「遺留捜査」のメイン脚本家の1人でもある大石(哲也)さんが脚本を担当していた回で、良い意味で遊んでくださったんです(笑)。
糸村も僕も演じてきた役の数だけ変わっているのかもしれません。また、芝居を始めて29年になりますが、幸いバラエティーに富んだ役柄を頂いておりますし、役者としての僕は少しずつ前に進んでいる気がします。
――「遺留捜査」との出会いによって得たものはありますか?
これまでにもいろんな役で、演じがいや醍醐味(だいごみ)を味わってきましたが、演じる“意義”が得られたのは、糸村というキャラクターが何より大きいかもしれません。
2011年に本シリーズが立ち上がって、撮影当初に東日本大震災があって、僕らの目の前からたくさんの“モノ”が消えました。
そんな中、遺留品に込められた思いを届ける人物である糸村というキャラクターが、僕には非常に意義のある人物になったんです。
災禍を忘れることはありませんが、今、傷跡が少しずつ癒えてきた中で、人の思いを届ける、いわば「初心」を大事にして演じていきたいと思っています。
――最後に、視聴者へメッセ―ジをお願いします。
「遺留捜査」ならではの“ぶれない”物語がある上で、これまで糸村たちが経験してこなかった世界観が出来上がっていると思います。「安心と新鮮を、同時に真空パックでお届け」出来るような作品をお送りしていけたらと思います!
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