――先ほどおっしゃられたように、松井さんは怪人・シザーズロストスマッシュへの変身もありますね。
台本に“変身する”と書いてはあったのですが、まさかちゃんとボトルを持たせてもらっての変身シーンができるとは思っていなかったので、びっくりしました! てっきり、エフェクトが「ブォーン」と入って変わる、みたいな感じだけだと思っていたので(笑)。ちゃんとボトルが用意されていて、しかも変身の前にボトルのキャップを回すところまでやらせてもらえるだなんて、心の準備が全くなかったです(笑)。びっくりしましたが、とにかくうれしかったですね。ライダーではないけれども、「敵として変身できるんだ」という喜びがありました。
――変身後にライダーたちと戦う際の、アフレコはいかがでしたか?
収録時間より早くスタジオに入って練習する時間を頂けたので、助監督と一緒に「こうやったほうがいいんじゃないか」とか「監督はきっとこういうことを言うかもしれないから」というふうにいろいろと準備しました。アクションシーンでのせりふや掛け声、余裕を持って戦っている感じ、相手より上手に立っている感じなどを、助監督と話しながら練習して本番に臨めました。
アフレコは練習では1人だったので難しかったのですが、私は武田航平さん(猿渡一海/仮面ライダーグリス役)、水上剣星さん(氷室幻徳/仮面ライダーローグ役)との3人でのシーンが多く、アフレコも3人で一緒に収録しました。やはり今までのテレビシリーズを経験してきているレギュラーの方がいると、空気感が生まれるんです。「こういうふうに声を出したら戦っているように聞こえるんだ!」と勉強になりましたし、2人とも台本にはないせりふをアドリブで入れたりもしていて。その場その場で役としてのせりふが出てくるのを見て、「慣れているな、うらやましいな」と思いましたね。
ただ、私が声をあてるシザーズも、アフレコ中に監督が映像を見ながら「このキックの後にはこんなせりふを入れて。どちらが優位に立っているか分かりやすくなるからこんなことも言ってみて」と、その場でせりふがどんどん追加されていって(笑)。アクションの手数を覚えなきゃいけないし、そんなふうに追加されたせりふも覚えなきゃいけないし、やることがいっぱいで大変でした。でも、とても楽しかったです。
――撮影で一番苦労された点はどこですか?
涼香のかなり長いせりふが、現場に入ってから差し替えられたことが一番テンパりましたね(笑)。変更後のせりふは撮影の前に紙で頂けたので、出番を待っている間に一生懸命覚えました。それは“悪役として悠々と出てくる”といった登場シーンで、みんながピンチの中「ふふふ」みたいな感じで出てくるシーンでのせりふだったので、私自身の心の中はすごくテンパっているけど、余裕な感じで演じなければいけないという(笑)。
それに、そのせりふを言う際はスタジアムの階段をかっこよく降りながら、という任務も現場で追加されたんです。下を向いちゃいけないし、せりふもちゃんと言わなきゃいけないし、ワルっぽい感じも出さなきゃいけないしと、やらなければいけないことが多かったのでとにかくテンパりましたが、なんとかできてワルっぽさも表せたと思います。私のそんな登場シーンはぜひ注目してほしいです。
――ご自身が演じられた中で、お気に入りのシーンはどこですか?
捕えた一海と幻徳を涼香が悠々と眺めるシーンが出てくるのですが、その中では監督がアドリブ的に付けたやり取りがあります。涼香はすごく真剣なのに、2人は涼香のことを少しいじる感じで、ちょっと笑える部分です。この作品はその場面までシリアスな展開で来ているのに、そのワイワイした感じが急に肩の力がふっと抜けるような、面白いシーンになっています。作品の色合いが一瞬だけガラッと変わるすごく好きな場面なので、楽しんで見てもらえればと思います。
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