8月22日(水)に放送されるスペシャルドラマ「太陽を愛したひと~1964あの日のパラリンピック~」(夜10:00-11:10、NHK総合)。
同作は1964年の東京パラリンピックを成功に導き、日本での障害者の社会復帰支援に尽力した医師の生涯を描く。
日本パラリンピックの父と呼ばれた医師・中村裕を演じた向井理にインタビューを行い、実在の人物を演じる上で気を付けたことや共演者とのエピソードなどを聞いた。
――台本を読んでの印象はいかがでしたか?
このお話を頂くまでは、東京パラリンピックを成功に導いた人がいるということを知らなかったんです。
当時、パラリンピックは五輪と同じ都市で必ず実施していた訳ではなく、五輪開催国の選択に委ねられていたそうです。そんな中、パラリンピックを開催するために省庁などを説得して…。
当時では当たり前ではないことをやってのけた人がいるということに対し、単純にすごいなと思いました。
また、台本には思わず泣いてしまうようなせりふも多くて。志尊淳くん演じるアキラや安藤玉恵さん演じる久子を叱咤激励する場面があるのですが、台本を読んでせりふがすてきだなと思いました。
僕は言葉をかける側なので本当は感極まってはいけないんですけどね。
そんなせりふをどんなふうに言おう、泣きながら言わない方がいいんだろうなと考えましたが、現場でそれが変わっていくこともありました。
上戸彩さん演じる妻の廣子と寝ているシーンは、特に泣くとは台本に書かれていなかったんです。
でもイギリスで感じた悔しさや医局でさんざん批判されたことが積み重なっていて…。張り詰めていたものがリハーサルで切れて思わず泣いてしまいました。
そしたら本番もそれでいきましょうとなって。ありのままにやらせてもらいました。
――感動したせりふについて具体的に教えてください。
「失ったものを数えるな。残っているものを最大限に生かせ」です。
これは留学先のイギリスでグッドマン博士から学んだ言葉で、中村先生もこの言葉を患者たちにかけます。
そして日本に戻ってから、グッドマン博士にどうせうまくいかないだろうと思われていた東京パラリンピックを「成功させろ」と言われます。
それは信頼されているからこそですよね。中村先生の人生を左右した言葉だったんだろうなと思います。
あとは車いすの患者さんにかける「足がだめでも丈夫な腕がある」という言葉。
たまたま車いすに乗っているというだけで、それは身長や体重が人によって違うのと同じ、一つの個性に過ぎない。車いすに乗っているということはマイナスではない、そこにこだわりすぎなくてもいい。
それぞれの長所をのばせばいいだけというのは、パラリンピックに限らず、障害者、健常者関係ないことだとこの作品を通して感じました。
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