産婦人科の“影”描くドラマ「透明なゆりかご」、院長役の瀬戸康史が感じた「知らないことの怖さ」〈前編〉

2018/08/15 07:00 配信

ドラマ インタビュー

由比産婦人科医院の院長・由比を演じる瀬戸康史


小さな産婦人科医院を舞台に、中絶や死産など産婦人科の“影”と向き合う人々を描くドラマ「透明なゆりかご」(NHK総合)が、毎週金曜夜10時から放送されている。

原作は沖田×華の同名漫画。アルバイトで看護師見習いを始めた主人公・アオイ(清原果耶)が、医院のスタッフや妊婦たちの思いに触れ、命の尊さを学び成長していく。

アオイの働く産婦人科医院の院長・由比を演じるのは、ドラマ「海月姫」(2018年、フジテレビ系)などで知られる瀬戸康史。由比は一見淡々としているが、“町の産婦人科”だからこそできることがある、という信念を内に秘めた人物だ。

そこでザテレビジョンでは、由比を演じる瀬戸にインタビューを実施。センシティブなテーマへの思いや、新生児との共演も多いこの作品にどう取り組んでいるのか、話を聞いた。

今では知らなかったことが恥ずかしい


――はじめに台本を読んだ時の第一印象を教えてください。

最初は仮の台本として準備稿というものが出るのですが、その段階で、全話ボロ泣きで読んだんですよ。そんな台本って初めてで。

まずこんなに心を揺り動かされることにびっくりしましたし、あとは自分には知らないことがこんなにあるんだっていう衝撃ですね。華やかさだけではない、産婦人科のシビアな部分を知った衝撃というか。

今は、これまで知らなかったことが恥ずかしいと思っています。

――さまざまな感情を揺さぶる作品だと思いますが、瀬戸さんの最初の涙は、どんな感情の涙だったんでしょう。

ただただ悲しい涙です。こんなことが現実で起こってしまうんだ、という。

もし自分に妻ができて子供ができて、妻と子どちらかを選ばなくてはいけないとかそういう状況になったとき、果たして自分は耐えられるだろうかとか、そこまで思いましたね。

――産婦人科への印象の変化もあったのではないでしょうか。

男性だからという理由をつけてしまうんですけど、最初は本当に知らないことが多くて。普段、産婦人科に行くことはないですからね(笑)。

結婚もしてませんし、もちろん子供もいませんし、出産に立ち会うこともないですし。

だから、テレビで見るイメージだと、赤ちゃんの産声とかご家族がうれし泣きしている姿とか、そういうハッピーな場所という印象だったんですけど、今回この作品に参加して、中絶をはじめいろいろな理由を抱えて来られる患者さんもいることを知って、すごくシビアな現場なんだなということを実感しました。

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