2018/08/08 18:27 配信
日本を代表する1on1のダンスバトルイベント"DANCE ALIVE HERO'S"の世界大会となる"DANCE ALIVE WORLD CUP 2018"が、8月3日にさいたまスーパーアリーナで開催された。
2014年以来4年ぶりの開催となり、優勝賞金1000万という世界最高峰の優勝賞金が用意された本大会は、今年4月に開催された"DANCE ALIVE HERO'S 2018"の各ジャンル優勝者と、欧州やアジアの国々で世界的実績を残している有名ダンサー12名(Ukayは諸事情により欠場)が集結。世界にフィールドを広げたダンスシーンのヒーローを決める熱いバトルが繰り広げられた。そんな激戦を制したダンスバトラーは誰だったのか?トーナメントを勝ち進んだバトラーの試合を振り返りながら、決勝戦の模様をライブレポート!
さいたまスーパーアリーナに駆けつけた満員の観客が、四方に囲むように作られたセンターステージで繰り広げられたダンスバトルトーナメント。世界で活躍するバトラー達の勝敗を決めるジャッジの4人が紹介されると、ここで新たなジャッジルールの説明が行われる。なんと、今回は観客の票も5ポイント目として換算されるという新ルールが導入。そう、バトルの行方はオーディエンスにも託されたのだ。
そんな興奮と緊張感が漂うなか、激戦を勝ち上がり決勝に名乗りを上げたのは、ISSEI(JAPAN)とSALAH(FRANCE)。ISSEIは、初戦でアメリカのHOUSEダンサーであるJungleと対決。アクロバティックなムーブを入れたり、個性的なHOUSEを見せるJungleに対して、ISSEIは観客を煽りつつ、持ち前のスキルフルなブレイキンで相手を圧倒。
続く2回戦では、DANCE ALIVE WORLD CUP 2018 HIPHOP SIDEの優勝者であるYuseiと対決。FOUND NATIONとKING OF SWAGの若手メンバー対決というドリームカードが早くも実現した。違うベクトルではあるが、双方とも世界で実績を残し、日本で一大クルーを築いているメンバーの対決は、どちらが勝ってもおかしくない熱いバトルに!
ISSEIが、初戦と打って変わって緩急のあるパワームーブで先陣を切ると、Yuseiは音楽のグルーヴにマッチした独自のムーブで対抗する。気持ちが高ぶっている両者は、バトル中に顔を近づけるなどして一触即発のムードになる場面も。あまりの激しいバトルに観客からも大声援が送られた。ISSEIに送られる声援が、ブレイキンに対する驚きであるならば、Yuseiに送られる声援は、ダンスでこんなに音楽にノレるんだという関心だろうか。どちらが勝ってもおかしくないバトルはISSEIが勝利。
先攻のISSEIがトップロックからトリッキング、パワームーブの連発で攻めると、初戦から徐々に気持ちを高めてきたKonkreteは、今までで一番激しいムーブで攻め返す。ここでISSEIの表情が険しくなり、改めてとんでもないダンスモンスター同士の戦いだと印象付けられるが、2ムーブ目でついにこのバトルの激しさを物語る自体が起こる。気持ちの高揚と感情の蓄積が最高潮に達したKonkreteがBUCK状態になったのだ。シャツを使ったKRUMPのコミカルなムーブ、ISSEIのキャップを奪ってハットトリック、最終的にはTシャツを脱ぎ捨てて感情を爆発させていた。決勝戦と変わらない熱量でお互いすべてを出し切った戦いは、パワームーブとトップロックを技術的に組み込んだISSEIが、ジャッジの票を集めて勝利。決勝戦に駒を進めた。
一方、フランスのSALAHは、2回戦から参戦。初戦は、事前に行われた大会の一般投票で出場権を獲得したMiaと対決。
今大会唯一のフィメールダンサーということで会場人気の高いMiaであったが、ダンスバトルに性別も人気も関係ないと言わんばかりの気迫で、強敵SALAHを相手に全力でぶつかっていた。しかし、SALAHのムーブは異次元にレベルが高い「Spider Salah」の異名通り、人間離れしたボディーコントロールで目を奪うムーブを連発する。彼はPOPPINやアニメーションを得意としているが、ダンスジャンルの垣根を超えたオリジナリティなムーブで会場から歓声を引き出す。世界のレベルの高さを見せつけて準決勝へと進んだ。
両者とも"UK B-Boy CHAMPIONSHIPS"や"JUSTE DEBOUT"といった権威ある世界大会で優勝している実力者同士だ。
GREENTECKがスタイリッシュでオシャレなポッピンをキメると、SALAHは逆立ちを含めた独自のムーブで曲に合わせたスペース感を見せる。SALAHの意外性なムーブに仕返ししようとしたのか、GREENTECKがブレイキンのフットワークを見せて対抗。SALAHも最後にフットワークから後方のヘッドフリーズという独自すぎる技を見せてフィニッシュをキメた。
世界のトップバトラー同士のドリームカードを制したのはSALAH。決勝でISSEIとジャンルの壁を超えた戦へと駒を進めた。
ついにやってきた決勝戦。MCはZeebraに代わり、バトルを前に観客の魂を揺さぶるような煽りで会場を盛り上げる。
ISSEIとSALAHの名前がコールされ、二人がセンターステージで顔を合わせるとラストバトルの口火が切られた。
先に仕掛けたのはSALAH。今まで見せてなかったロッキンを踊り出したと思ったら、被っていったハットから突如白いハンカチを取り出すという驚きのムーブを見せる。これがスーパーエンターテイナーと呼ばれる所以だろうか。決勝の舞台で観客を楽しませることを忘れないことこそ、彼のダンスなのかもしれない。のっけから観客のハートを掴むムーブで、ISSEIにプレッシャーをかける。
一方、ISSEIも持っていたタオルでアクションを起こしてSALAHにアピール。彼の世界観に付き合いながらも、BBOYとしてパワームーブをふんだんに盛り込んだブレイキンで攻め立てる。2ムーブ目に入ると、両者上着を脱いでガチモードへ。SALAHは初戦から見せていたボディーコントロールをよりマニアックにしたムーブで場を支配し、観客が息を吸うのを忘れてしまうような人間離れした不思議なムーブでラストスパートをかける。 ISSEIはヘッドスピンから大技の連続に繋げて存在感とスキルをアピール、曲の転調に合わせて一気に動きを大きくした大技を見せるムーブは、まさにダンスセンスの塊と言うべきだろう。
満員のさいたまスーパーアリーナの観客に祝福され、優勝者として勝ち名乗りをあげた!優勝したSALAHは、日本語で「ありがとーーーーー!」と嬉しさを爆発させた後に、大会を振り返りながら「皆さんありがとうございます。日本で開催された世界大会で優勝できて嬉しいです。新しい世代のダンサーに伝えたいことがあります。ダンスをエンジョイすることを忘れないでください。今日戦ったMia、GREENTECK、ISSEI、バトルに参加した全ダンサーにエナジーをくれてありがとうと伝えたい。ジャッジやMC、すべての方にありがとう!」と感謝の言葉を口にしていた。
全バトルが終了したあとは、EXILE TRIBEを含むLDHアーティストとストリートダンサーたちによるライブショーケースでフィナーレ。PKCZ®が回すDJプレイで、HONEST BOYZ®、BALLISTIK BOYZ、FANTASTICS、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、®AG POUNDと、次々に目の前で起きる圧巻のダンスショーケースに観客の盛り上がりは最高潮に。
その熱量のまま、最後はこの日出場した全バトラーがステージ上に現れ、スポットライトと大歓声を浴びながら一人ずつ紹介。ダンサーリスペクトを最大限に感じる演出で会場全体が一体化して"DANCE ALIVE WORLD CUP 2018"は幕を閉じた。今回、ダンスエンターテイメントに強い大手芸能事務所LDHの協力体制のもと行われた"DANCE ALIVE WORLD CUP 2018"
新たに生まれ変わったといっていい本大会は、ダンスファンやLDHアーティストファンを含む多くのダンスエンタメに興味のある層を巻き込んで、ダンスバトルの素晴らしさを伝えていたイベントだった。
そして、今回バトルがALL STYLEで行われたのも、純粋にダンスですべての人間の心を動かせるヒーローを生み出すというコンセプトを打ち出したものだったのではないだろうか。今後続いていく"DANCE ALIVE WORLD CUP"に向けて、大勢の観衆に囲まれ、大いに盛り上がり、ダンサーがヒーローになれる場所を作り出す。そんな心意気がすべてのコンテンツから伝わるイベントだった。
(取材・文●のざたつ)
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