コムアイに限らず、「dele」のゲストに重要なのは、“存在感”と“役者としてのイメージ”が付き過ぎていないことだということも分かった。
「僕が『dele』にしかできないゲストキャスティングと思ったのは、『dele』というドラマを一番楽しんでもらうためにいい意味での“意外性”が絶対に必要だと思ったこと。
要するにいろんなドラマで見過ぎていて、『この人といえばこのパターン』みたいな。ドラマ好きな方こそそう思うじゃないですか。
そう思われないために、『dele』というドラマのキャラクターの中ではこの人が最高だと。そのキャラクターにしか見えないぐらいの意外性を絶対大切にしたかったことと、希少性。
ここでしか見られない『普段こういうところには出てこないよね』って、でもこの作品だからこういう物語だから集まっているんだ、クリエーターとして集まってきてくれているワクワク感が出ることを意識しました」(山田P)
ドラマ通であればあるほど、容易に想像できるようなキャスティングを用意しない。むしろ「裏切ることがスタンダード」な姿勢が、「dele」という作品そのものが持つ意外性へとつながっているのかもしれない。
そのことは受け取る側のためだけでなく、共演者や現場の士気についても意識が及んでいるようだ。
「キャスト・スタッフが驚き喜んでくれるゲストキャスティングこそ強度があるアイデアだと心掛けました。『そんな人出るんですか?』『そのアイデア最高っすね』って言ってもらうことで士気は高まる部分があります。
その回を撮るスタッフも楽しみになってくれるわけです。そうすると作品の気合のノリが変わりますから。みんながワクワクするから、日々現場が大切に動けるというのはとても大切なことだと思っています」
具体的には「1日1日の撮影に対して『ついに明日あの人来ますね』って言うとみんなワクワクするじゃないですか。そうすると相乗効果で、絶対に丁寧に撮ろう、絶対にいいシーンにしよう、ってなってもらえる。
これは『北風と太陽』の寓話でいうところの“太陽”のようなアプローチを大切にしたいということだと思っています。太陽のようなゲストがいることによって周りが勝手に暑いねって脱ぎ出す=自ら自主的に最高のパフォーマンスをしようと盛り上がってくれる。それってなんか全体の組織を作るプロデューサーとして大切なことで、マネジメントとして僕自身もワクワクするし、したいと思ってやっています。
それが今までのドラマ制作で学んできた、“いい作品を作る秘訣(ひけつ) ”だと個人的には感じています。ある意味、本作ではそれをやりきれたのではないかと思っています」と、語ってくれた。
裏の裏は表であるように、ウラガワはいつだって表と表裏一体なのである。
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