仙吉は、鈴愛の波乱万丈の人生を温かく見守ってきた。
高校卒業時、就職活動にことごとく失敗する鈴愛に農協就職の話を取り付け、鈴愛がそれを蹴って「漫画家になりたい!」と言い出しても「行ったらいい」「夢は見てるだけでぜいたくや。夢見てる時間だけでも、モト取れるな」と真っ先に賛成した。
鈴愛が漫画家を辞める決心をしたときには「9年頑張って、本も何冊か出して、ああ、御の字や」「どうにでもなるぞ。大丈夫や。人間はな、強いぞ」と温かく励ました。
第117回では、草太(上村海成)のカツ丼が評判になった裏で「おじいちゃん、拗ねてまって、五平餅作るの嫌になってまった」と鈴愛に告白。漫画家を挫折した自分を「カッコ悪い」とまだ受け入れられずにいた鈴愛の心を「人間ちゅうのは、大人になんかならへんぞ。ずっと子供のままや。競争したら勝ちたいし、人には好かれたいし、お金は、欲しい」と、優しく解きほぐした。
「五平餅焼いて、おいしいって食べてくれる人がいて、これでよかったんやと思った。それだけのことや」。仙吉が五平餅になぞらえて語った人生観は、自分の過去と今を肯定して前に進むこと。仙吉は一貫して、「“今”に満足すること」の豊かさを教えてくれた。
仙吉が“主役”になった回も。第53回(6月1日放送)では、草太を相手に「学生街の喫茶店」「真夏の果実」のギター弾き語りを披露。第80回(7月3日放送)では、それまで語ってこなかった戦争体験を鈴愛に打ち明け、「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌い上げた。
この回はどちらも大きな話題に。SNSなどでは「カッコいい!」「こんなおじいちゃんが欲しかった」といった喝采や、「仙吉じいちゃんの歌に心が洗われた…人間は強い」「素敵な歌をありがとう」「ボロ泣きした…」といった感動の声が飛び交った。
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