山田孝之&菅田将暉「dele」パターン化しない!企画のウラガワ『多様さを味わってほしい』

2018/08/17 12:00 配信

ドラマ

圭司(山田孝之)は依頼人・浦田に思いを馳せる(C)テレビ朝日


多様さを味わう―“複数脚本家”戦略のウラガワ


ここまで、1話は原案の本多氏自身、2話は渡辺氏、3話は青島氏と毎回異なる書き手が「dele」の世界を作り上げてきた。

「企画の段階で、『dele』という作品の良さは“どんなエピソードでも作れる”ことだと思いました。デジタル遺品のモチーフと、ぶれないキャラクター。せっかくなので、その中で、色々な作家性を持つ脚本家の方にいろんなエピソードに挑戦していただいて、『dele』という作品の多様さを味わってもらえれば面白くなるのではと考えました。それは、難しいですがいつか試してみたい、挑戦してみたい作り方でもありました」(山田P)

1話で出会った圭司と祐太郎。ふたりは回を追うごとに成長し、関係性も少しずつ変わっていく。各エピソードを1つの物語として成立させると同時に、ドラマ全体の流れも作っていかなければならない。そのために必要だったのが、2年という時間だった。

「書く人は異なりますが、圭司と祐太郎はエピソードごとに少しずつ成長していきます。そこに無理が出ないように、1つ1つのエピソードを行ったり来たりしながら『このエピソードをどこに置くべきか』とすごく悩みながら選んでいったという感じでした。信頼できる方々の意見も参考にしながら慎重に考えましたので、1つ1つのエピソードが視聴者の皆様にとって良い流れに感じていただけることを願っています」(山田P)

演じる山田と菅田とも早い段階から各エピソードのプロットを共有し、ディスカッションしながら「dele」は作られていった。

第3話で描かれた昭和ノスタルジー漂うエピソードは、山田Pが「『dele』という題材の中で一つやってみたかった」世界観だという。脚本を担当したのは、映画「あなたへ」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した青島氏。監督も今回から瀧本氏へバトンタッチされた。

第3話の依頼人・浦田(高橋氏)は、公安筋に雇われて幸子(余)を20数年間ずっと監視していた。それは、幸子が若いころ、過激派爆弾テロ犯の五島という男と恋人関係にあったためだった。幸子を監視するうち、五島は彼女の人生に寄り添い、自分の人生に重ね合わせるようになっていった――。

「青島さんと瀧本さんは『グラスホッパー』という映画を一緒にやってらっしゃる盟友で、3人でどういう話にしようかと相談していました。その中で、1970年代ぐらいからの歴史・時代が感じられる話ができないだろうかという話になりまして。例えば、“指名手配犯”と出続けている写真の人物が、長い逃亡期間を経て急に捕まった、みたいなニュースがありますよね。そういう人がどういう人生を送っていて、その時代をどう生きていたのかっていうことに興味がある、それをやってみてはどうか、という話になりまして。そんなモチーフから青島さんが考えてくださったのがこの物語です」(山田P)

デジタル遺品というアナログとは対極に見えるテーマの中で、圭司と祐太郎は依頼人の身辺を地道にあたり、案外泥くさく依頼人の本心に近づいていく。第3話、圭司がデータを通して浦田の過ごした時間に思いを馳せる点描には、そんなデジタルとアナログの対比が印象的に浮かび上がる。

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