NHKラジオの夏の風物詩として親しまれている「夏休み子ども科学電話相談」(8月23日[木]~8月31日[金]、NHKラジオ第1)。
同番組は、子どもたちの科学に対する質問に、専門家の先生たちが答えるというシンプルな内容だ。
どんな疑問でも受け止める先生たちに「質問したい!」という子どもたちからの人気はもちろん、SNSなどでは大人が「癒される」「毎年、聞いていて、なぜか涙が出てくる」など大きな話題を呼んでいる。
なぜこの番組が多くの人々に支持されているのか、その秘密を探るため、チーフプロデューサーを務める大野克郎氏と、チーフディレクターの柴文彦氏にインタビューを敢行。
ことし番組で誕生した名言などを振り返りつつ、どのように番組の雰囲気を作り上げているのか聞いた。
――番組の特色として、先生たちの掛け合いの面白さもあると思います。先生のキャスティングをご担当されているお2人としては、意識していることなどはあるんでしょうか?
柴:最初に皆さんのスケジュールを聞いてから組み合わせを考えていくんですが、なるべく連続で出演していただくようにしています。
特に地方からいらしてくださる先生は1日だけでなく、2日は出ていただけるようにと考えていますね。
虫と天文、植物、動物などのジャンルの中だと、虫に関する質問が割と多いんです。その次に多いのは空に関することや、夏休みの自由研究のための「アサガオ」についてです。毎年やっていると、そういうふうに質問が来る比率が何となく分かってくるので、それに応じて先生の組み合わせを考えています。
大野:ジャンルを違えて一日4人の先生をお招きしているんですが、質問の多い分野の先生には日数的にたくさん登板していただきつつ、1日の放送では4つの分野の先生の答える質問の量が大体同じになるようにと意識しています。
――川上和人先生と小林快次先生の「バード川上&ダイナソー小林」コンビは、ネットでも話題になる組み合わせですよね。
柴:複数の先生たちで一つの質問についてお答えいただくと、いろんな角度から物事を考えることができるんですよね。先生同士のチームワークもあって、面白い方向にも行きやすいと思います。
川上先生と小林先生については、そういう効果が生まれやすいので、2人を組み合わせたというところもあります。
大野:しかも、お2人で出演した7月31日の放送では、昆虫の“心”についての話で先生たちが4人とも答えていて、豪華で面白かったですよね(笑)。
それぞれの先生が答えやすくなるような並びはある程度考えますが、鳥の先生と恐竜の先生という組み合わせだけに特化するのではなく、いろんな形で聞いていただきたいという気持ちがあります。
いろんな先生に出ていただいているので、あまり組み合わせのみが目立たないようにとバランスを取るようにはしています。
柴:そうですね。どうしても大人の面白がり方が注目されがちですが、原点としてこの番組は子ども向けなので、あまりに大人の受けを狙って作ってしまうと面白くなくなるんですよね。
大野:ですので、私たちはあまり演出を過度にかけないようにしているんです。大人と子どもの面白がり方は違うので、番組として、ある程度大人の方へのサービスもできたらとは思いますが、あくまでも子どもたちの声を中心にしています。
――先生たちとの事前の打ち合わせはどんな雰囲気なんでしょうか?
柴:打ち合わせというか、こんな質問が来ていますよっていうことだけお話する感じですね。
皆さんベテランの方々なので、すでに勘どころはつかんでいらっしゃるんですが、「結論を早めに提示してあげる」ということは意識してくださいとお伝えしています。
あとは、「基本的なことを教えてあげる」ということですね。
先生方は、大人や同業者の方が聞いていることも想定しなくてはいけないので、例外事項に配慮する必要があると思うんですが、そこは最小限に抑えてもらうようにしています。
大野:番組が始まる前に届いた質問を、最初は何問か事前にお渡しするんですけど、放送中にどんどん飛び込みで入ってくるんです。そんなドキドキも先生たちは楽しみながら出演してくださっています。
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