――7月23日の放送で、洗濯機で洗っても生きていたカブトムシを久留飛克明先生が「ラッキーカブトムシ」と名付けた回は、SNSでも話題になっていましたね。
大野:久留飛先生がもともと面白い方というのはあるんですが、子供向けにかみ砕いてお話されるので、ああいうヒットする言葉を生むのかなと思います(笑)。
――そういった反響は見ているんですか?
柴:放送中にTwitterを見たり、親切にまとめてくださっている方のサイトを見ることもあります(笑)。でも、意識はしないようにしています。
大野:Twitterの反響などを見て、聞き逃し配信を聞いてくれるという、いい流れができているのかなと思います。
NHKラジオの「らじる☆らじる」というアプリでの聞き逃し配信の再生回数が1万回を超えることも多いんですよ。
だから、実は通常ですと当日の午後6時頃になる聞き逃し配信の時間を、配信担当のスタッフに頑張って繰り上げてもらって(笑)この番組は午後3時頃から当日の放送が聞けるように努力しています。
――去年から比べても、視聴者からの声は増えたんでしょうか。
大野:右肩上がりで増えています。聴取率など数字的に見ても、第1週から飛ばし気味でどんどん増えているので、私たち自身が驚くくらいです。
こういう素朴で癒されるものが時代に求められているのかなと感じたりもします。作っている僕たちが癒やされるくらいですしね。
柴:NHK局内の、この番組のスタッフじゃない人たちも聞きに来たりしますからね。
大野:そんなわけで、この番組が毎回SNSで注目されているのは知っていますし、そういう形でも楽しんでいただきたいんですが、私たちが過剰にSNSに反応してしまうのは、ちょっと違うのかなと思っています。
でも一個一個の言葉を拾って注目してくださっているので、見ていると楽しいです!
柴:トレンドで1位になっていることもあるくらいですからね。
大野:だからといって、スタッフはその評判に踊ってしまうことなく、ちゃんと子どもたちの疑問に向き合っていく番組を作っていこうという共通認識があります。
「話題になっているからこうしよう」とはせずに、この番組が“愛されてきた理由”をしっかりと確かめながらやっていこうと気を付けていきたいですね。
私たちの方から仕掛けたり、演出をしていると思われてしまうと、聞いている方も引いてしまうと思うんです。
だから、子どもたちの自由な発想と先生方のやり取りの純粋に楽しんでいただく、そのお手伝いを私たちは少しするだけという意識を持っています。
――最後に、今後の番組の展望などを教えてください。
柴:昨年は「冬休み子ども科学電話相談」をやったんです。その中で、「心と体」というテーマでやってみたことがあって、科学相談ではありつつ、文系分野にも踏み込めたかなと思いました。
大野:冬休みの放送はもちろん、要望があったらまたできればいいなと思います。ただ子どもたちが感じる“科学”的な疑問が根本にあることは忘れずにいたいと思っています。
人生相談になってしまうと、人それぞれに個人差が出てきてしまうんですが、科学だと幅広くみんなの共感が得られる気がしていて。
だから、軸を“科学”にしたことが、「科学電話相談室」が35年続いた理由ではないのかなと、僕は思っています。
この番組の“子どもの好奇心に寄り添う”というテーマとテイストは変えず、ぶれずにやっていきたいです。
柴:いいフォーマットが、この長い期間の中でできてきていると思うので、そこは変えずにいきたいですね。
大野:今までも「面白いね」って言われることはあったんですが、こうやってSNSが盛んな時代になり、聞き逃し配信が可能になったことで、よりたくさんの方々に聞いていただけるようになったのはすごいことですよね。
大人が分かっていたつもりでいたことに、逆に子どもたちに教えられたり、気付かされたりすることもたくさんあるので、これからも子どもたちの好奇心に、大人がちゃんと真面目に向き合っていく番組を作っていきたいと思っています。
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