深夜で築いてきた“テレ東でしかできない作品”への矜持【テレビの開拓者たち・浅野太】

2018/08/31 18:45 配信

芸能一般

「テレ東のドラマ、そう来たか!」と思わせたいんです


現在放送中のドラマ24「GIVER 復讐の贈与者」。日野草原作の短編小説群を、主演に吉沢亮、監督に小林勇貴ら気鋭の顔触れを迎えてドラマ化(c)「GIVER 復讐の贈与者」製作委員会


──浅野さんが日頃、ドラマの企画を立てるに当たって、アイデアの原点にあるものは何ですか。

「何でしょうねー。作品によっても全く違いますけど、深夜ドラマに限らず、ゴールデンやプライムのドラマでも“視聴者に驚きを与えたい”というのはあります。たとえば、『金曜8時のドラマ「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」』(2015年テレビ東京系)だと、『映画版でハマちゃんを演じた西田敏行さんがスーさんをやるの!?』みたいな。“この原作をドラマ化するの?”とか、“この人がこんな役をやるの?”というような驚きを1つ2つ盛り込んで、『テレ東のドラマ、そう来たか!』と思わせたいんです」

──脇役として活躍されている俳優さんたちが主人公の『バイプレイヤーズ』シリーズ(2017、2018年テレビ東京系)も、まさにそんな驚きのある企画でしたね。

「『バイプレイヤーズ』は、ドリマックス(※制作会社)のプロデューサーの企画だったんですが、『このメンバーを集めるのって現実的じゃないですよね?…でも、やれたらすごいですよね』っていうところから始まって。普通なら、企画書の段階で『これは無理でしょ』といって歩みを止めてしまうところを、一歩踏み込んで前に進んでいったから実現できたんだと思っています。この作品に限らず、“ダメもと”の精神が成功につながったという体験は多いかもしれませんね」

──現在は『ドラマ24』のチーフプロデューサーを務めていらして、今クールは「GIVER 復讐の贈与者」が放送中です。

「『GIVER』に関しては、原作の小説が非常に面白いのですが、ドラマ化するのはなかなか難しい作品で。文字で読むからこそ『この人の正体は何者だ?』っていう興味が持続していく、というタイプのミステリ小説なので、映像で見せると、そこがバレてしまう。原作の面白さをどう映像化するかというのは、プロデューサーの濱谷(晃一)を中心に、いろいろとプランを練りました。

テーマが“復讐”ということで、『ドラマ24』ではかつて『怨み屋本舗』(2006年テレビ東京系)が同じジャンルでしたが、切り口は『怨み屋本舗』とは全く違うんです。後半に入ると、どんどん主人公の義波(吉沢亮)の物語になっていきます。

また今回は、メイン監督の小林勇貴さんをはじめ、それぞれの監督の持ち味が存分に発揮されています。同じタイトルのドラマなのに、いろいろなカラーがある(笑)。むしろそこが各回のバリエーションになっていて、このドラマの特性の一つになっているのかなと思っています」