山田孝之&菅田将暉「dele」際立つ“映像美”のウラガワ『映画っぽさは目指していない』

2018/09/07 12:00 配信

ドラマ

祐太郎(菅田将暉)の過去も少しだけ明らかに(C)テレビ朝日


真夏に届いた“雪景色”のウラガワ


冒頭、視聴者の度肝を抜いた雪山での映像は、新潟県魚沼市の山中で撮影された。脚本を手にして、スタッフは頭を抱えたという。常廣氏はこう振り返る。

「金城さんから脚本を頂いて慌てました(笑)。スケジュールでは、(都心には雪のない)今春から初夏にかけて撮影することになっていて。ただ、春スキーというものもありますし、ゴールデンウィークならギリギリ行けるかな、と思っていたら、春先から予想を超える暑さで…。『どこも雪が溶け始めています!』ということで奥へ奥へと探して、最終的に新潟県の山の中にたどり着きました」(常廣監督)

リアルな一面の雪景色を求め、まだ雪が残る地域を徹底的に洗い出して撮影が実現。それだけに、仕上がりは格別だった。悲しくも美しい幕開けを印象づける冒頭のシーンが完成した。

アナログな人生を丁寧に描く


dele」は映像に対する強いこだわりを持って制作されている。山田Pは「『dele』の企画を立ち上げるときに、キーになるのは映像だと思ったんです」と説明する。

「『dele』はデジタルがモチーフの作品です。だからこそ、人間味のある、アナログな人生のありようを丁寧に描くドラマにしたいと思っていて。それならば、自然の美しさとか太陽光の美しさとか、人生の、僕たちが今生きている地球の美しさをどれだけ美しく撮影できるか、そこに注力したいという思いがありました」(山田P)

6話であれば、圧倒的な自然の美しさを映像として盛り込むことで、パソコン上の無機質なデータから浮かび上がってくる独りの少女の生身の葛藤と苦しみを生あるものとして描きたい――そんな思いから、予算や時期などのハードルをいくつも超え、本物の雪山での撮影にこだわったという。映像の美しさが度々話題にのぼる本作は、こうして作られていった。

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