――役者でもある新良さんから見て、アイドルの演劇や歌劇はどういうところに魅力があると思いますか?
意外性が一番ですね。本業の方たちは舞台をやるのが当たり前じゃないですか。でも、アイドルは活動の1つとして舞台に出ているわけです。普段のコンサートでは見られない意外性、キャラクターの顔があって、私はイベントっぽくも見ています。
でも、指導者としてそれをお遊戯会にしてはならないと思ってますし、アイドルの側も、ハロプロの子たちだけでなく、乃木坂46やAKBグループの子も、みんな真剣に取り組んでいます。何なら本業の人たちよりも良いスキルを持っている子もいますからね。教えていて、そういう子が出てくる意外性というのは面白いです。
――アイドルであることの武器はどこにあると思いますか?
それはもちろん、ダンスも歌もできて、プラス可愛いというところです。演劇の世界だってダンス、歌のスキルは絶対にほしいところなんですが、歌えない踊れないという役者は案外多いんですよね。ストレートな芝居に特化している人ほどそうなりがちで。私は小さい頃からダンス、バレエを学んできたせいもあって、どうして芝居だけで劇を作ろうと考えるのか、疑問に思うところがあるんです。人前に立つエンターテイナーとして色々なことができて当たり前だと思っています。
それを考えるとアイドルの子は日々色々なことを経験して、歌もダンスも大変な数を覚えて、練習量やバイタリティは本業の役者に負けないものです。だから、アイドルだからと彼女たちの劇が甘く見られている部分があるのは嫌ですね。最近は本業の人たちも認めていて、バカにするような人はそんなにいなくなったと思いますが、お客さんの方にまだそういう目が残っている気もします。「アイドルだから仕方がないね」「アイドルなのに頑張ってるね」って。
――2.5次元舞台が増え、アイドルが進出したことで、舞台作品の数は飛躍的に増えています。その功績は大きいと思います。
そこは間違いなく。アイドルは元々自分たちのファンを持っているので、そういう彼女たちが演劇に来てくれたことで、今まで興味がなかった人たちに劇の面白さを知ってもらえる機会を作れるようになったのは感謝しかないですね。
――責任重大でもありますよね。見に来てくれた方に、舞台は楽しいと思ってもらわないと。
だからこそ、歌唱指導の重みを実感するんです。歌えるようにできなかったらそれは私の責任で、「これでいいか」では済まないと思ってますし、その劇における音楽プロデューサーくらいの気持ちで臨んでいます。
この歌い方だとこの子が映えない、このメロディだとこの子が生かせないとか、歌を通して役者として立たせることを常に考えています。それが私の歌唱指導で、アイドルに対しての時はそれが特に強いですね。これってハロプロへの指導を通して私が学んだことでもあって、それを他の現場に持ち込んでいる部分もあるんです。こういう関わりを作っていただけたことに、とても感謝しています。
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