――上川さんは原作もお好きだということですが、原作を読んで「この役をやりたい!」とかありましたか?
上川:いえ、思ったことはありません。純粋に一読者として楽しんでいました。今回、出演のお話がきた時は正直「マジか」という感じでした。この作品を上演することに対しても、僕にお話を振ったことに対しても(苦笑)。
でも、「魔界転生」って原作通りには映像化がなされていないので、その時点ではどこまで原作を遵守するのか、アレンジするのかが分からなかったですし、やるとしたらどうなるんだろうという好奇心の方が大きかったんです。
その上で、どう転がるか分からない2018年の「魔界転生」の柳生十兵衛でお声掛けいただいたことが純粋にうれしかったので、多少は悩みながらも、僕の中の「マジか」は「やらせてください」へと変わりました。
溝端:僕は深作欣二監督の映画(1981年)の前に、佐藤浩市さんと窪塚洋介さんが出演された映画(2003年)を見ていたんです。多分、学生の頃に見たと思うんですけど、印象としては舞台でできる感じはしなかったですね。
でも、今回堤さんから天草四郎のお声掛けをいただいて、今までに演じた役とは対極の役だったのでやってみたいと思いました。
どうしても、天草四郎というと沢田研二さんの印象が強いですからね(苦笑)。僕、ジュリーさんが大好きで、昔の映像とかよく見ているんです! こんなに格好いいカリスマ性のある男っていたんだなと思いながら見ています。色っぽいなぁと思って。沢田さんが演じられた天草四郎はぴったりだなと思っていたんですが、まさか自分がやるとは思っていなかったです(苦笑)。でも、いい経験をいただいたなと。
――この作品に限らずですが、時代ものだから気を付けていることはありますか?
上川:世界観を大事にすることはもちろんですが、僕自身としては、どこまで(父親役の)松平(健)さんから何を学べるかが楽しみのひとつだったりします。僕は松平さんほど時代劇で多くの時間を過ごしてきたわけではないので、勉強できることはたくさんあるでしょうし、時代劇に必要な何かも松平さんの一挙手一投足の中から、さまざまなヒントとして見出せるのではないかと思っています。
溝端:僕なんて、もっと勉強をしなきゃいけないことがいっぱいです…。所作にしても殺陣(たて)にしても、何にしても自分で理由を見つけながらやることが大事で、その決まった作法をやらなきゃいけないということだけではなく、自分でかみ砕いて動きに表せたらと思いますね。
――そんな公演を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
上川:見たことのない舞台が作り上げられるということだけは、われわれの共通認識ですので、出来る限り精一杯のことをして、お客さまに驚いていただけるような作品をこの秋、お届けしたいと思います。
溝端:未曾有の舞台になっていると思います。本当に壮大ですし、マキノさんの脚本と堤さんの演出も素晴らしいです。最新の技術を使いながらも、お芝居に当たり前のアナログな部分もあり、そこがうまく合致すればいいなと思っております。
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