アニマックス開局20周年記念作品として、10月からアニメとスマートフォンゲームで同時展開される「あかねさす少女」。「Ever17 -the out of infinity-」などの名作アドベンチャーゲームを手掛けてきた打越鋼太郎がシナリオ原案、「TIGER & BUNNY」などで知られる桂正和らがキャラクター原案を務め、女子高生たちがさまざまなパラレルワールドを旅するSFストーリーが描かれる。
黒沢ともよが演じる主人公・土宮明日架は、現代とはまったく違う世界線で、さまざまな価値観を持つ"明日架"と出会うことに。そこで複数の"明日架"を演じ分ける黒沢に、演技へのこだわりを聞いた。
黒沢さんからご覧になって、「あかねさす少女」の見どころは?
「台本を読みながら『なんでこうなるの?』とか、『だからこうなるんだ!』って疑問と確認を毎週のように繰り返していて、まるで謎解きゲームをしているような気持ちになれるアニメだと思います。それに、キャラクター同士の会話が多い作品なんですが、女性が共感できる内容がたくさんあるんです。一方で、バトルが始まると男子が盛り上がるダイナミックさもあるので、幅広く楽しめる作品だと思います」
土宮明日架というキャラクターを演じていて楽しいところや、やりがいは?
「私が演じる"明日架"は、今の日本に近い世界にいる土宮明日架と、まったく違う世界にいる明日架の2人がメインキャラクターになっています。他にもいろいろな人格の明日架を演じなくてはいけないのですが、まずは土宮明日架をなるべく自分と近いニュートラルな立場で演じることを心掛けました。逆にもう一人の明日架は、土宮明日架と生きてきた価値観が違うので、初めはすごく戸惑ってしまいましたが、監督さんから『本質は一緒で、見せている部分が違うだけ』というアドバイスをいただいて、それがすごく私の中でキャラクターと向き合う良いキーワードになりました」
黒沢さんは演じるキャラクターを理解する上で、いつもどんなところを取っ掛かりにしていますか?
「私はキャラクターのこれからの話より、過去が知りたいタイプだと思います。今回の場合、鉱石ラヂオ研究会という明日架が所属するクラブがあるのですが、最初にクラブにいる5人のキャストの皆さんと、『この子たちはどうして一緒にいるんだろう?』ということを話し合ったんです。いろいろなタイプのキャラクターがいるのですが、『彼女たちがどういう順番で出会ったのか、間違っててもいいから考えてみよう』って。他にも明日架の家族構成を見て、彼女がどんなことを考えて育ってきたのかをイメージしたり、第1話目の台本を読んで、明日架が人に掛ける第一声が『ねえねえ』か『あの』かをチェックしたり。そういうところを考えると、いろいろと人物像が見えてくるんです」
アニメの中では、土宮明日架と他の明日架の対話シーンも出てくると思いますが、そういうときはどうやって収録していますか?
「テストの時は全部1人でやるので、みんな落語みたいになっています(笑)。私は前のセリフに引っ張られて次のセリフが出てこなかったりするんですけど、Lynnさんはすごい上手なんですよ。『このまま本番録れるんじゃない?』って、いつも尊敬しています。本番の時はシーンごとに小まめにあっちこっちに行きながら、録れるところから順番に収録していく感じですね。いつも台本と蛍光ペン3本ぐらい持ちながら、『このト書きはどの明日架かな?』みたいに確認しながらチェックしています。今まで体験したことがなかったぐらい台本を読むのが大変で、お母さんに泣きながら電話したこともありました(苦笑)」
最後に、放送を楽しみにしている方たちに向けてメッセージをお願いします。
「私たちが普通に生活していて出会うことがない困難な出来事に、一生懸命立ち向かっていく明日架たちを優しく見守っていただけたらと思います。本当に各話、こんなにカラーが違う作品は珍しいんじゃないかっていうくらい、さまざまな価値観の中で生きる素敵な人たちが登場して、すごく説得力のある世界感が繰り広げられていきます。後半に向けていろいろな伏線が一気に集まっていくので、見逃さないでお楽しみください!」
文=小松良介 撮影=小川修司
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