――「LIFE!」は、最後にアドリブを足されていることも多いですが、自分が脚本を書いたものを実際に見た時にはどのような気持ちになりますか?
演者さんがいろんなことを広げてくれるので、「あ、こういうキャラだったんだ!」って演技を見て初めて気づくことばかりです。
せりふの言い方が書いていた時のイメージと違うこともあるんですけど、それが嫌だったことは一切なくて、言い回しとかを聞いて、さらに新しいアイデアが浮かんでくることもあります。
ちょっと昔のコントですけど、「テツオの数奇な運命」(2015年放送)では、星野さん演じる鉄仮面をつけたテツオに悲しいことが起こって、最後に「うおー!」って叫ぶところまでしか台本ないんです。
そこから、友達役のムロさんと星野さんが自由に遊びだすんですけど、その部分で星野さんがすごくかわいらしくなるんですよ!
それを見て「テツオって、鉄仮面をつけているという悲しい運命を抱えているけど、根は明るくて前向きなんだな」って分かって、驚きました(笑)。
――番組の座長である内村さんの演技については、どのように思いますか?
内村さんは、全てのキャラクターを違う形で演じられるので、手数が何個あるんだろうって思います。
台本には絵がないので、ちょっと無責任な部分がある気がするんです。書いておいて、「これってどんな動き?」って聞かれたら返す言葉がなくなっちゃいます(笑)。
でも内村さんは、キャラクターごとにせりふの言い回しも動きも細かく決めて作ってきてくださるので、すごいです。
――台本を書くときに気を付けている部分はありますか?
NHKだからこれは書かないようにしようとかは一切なくて、ただ書きたいことを書いているだけです。「LIFE!」っぽさを意識したことも、ないかもしれないです。
むしろ、「LIFE!」ではやったことがないネタを書きたいと思っているので、“「LIFE!」っぽくない”ものを出すように心がけています。
――ボツになったネタの中で思い入れのあるものを教えてください。
「おじさんの町」(2016年)っていうシリーズですかね。
昨年、一本目を放送して、番組の中でも「『おじさんの町』シリーズをやります!」って告知もしたんです。
でも、二本目を書いていたら、見えなくなっちゃって(笑)。
「あれは何が面白かったんだろうか」って西川さんと話し合って、一応二本目も撮ったんです。
でも、結局あんまりはねなくて、オンエアーせずに終わりました。それはなんか、悔しかったですし、申し訳なかったです。
あとは、番組内でも「なぜか放送されてないコント」としていじられたことがあったんですけど、「ゾンビライフ」っていうシリーズ。3本も撮ったのにお蔵入りになりそうだったので、ダイジェスト版で放送していただきました(笑)。
会議で設定を出して、台本まで書いたけど、何となく消えていっちゃうものとかもあります。
「鳩を助けた日」っていうコントがあるんですけど、それは会議でも何回か話しているけど撮ってないネタです。
内容は、ある男性がケガしている鳩を助けた後に、家に鳩っぽい顔と動きをしているおじさんが訪ねてくるんです。男性は「あの時、助けた鳩だ!」と確信して、ご飯をあげて家に泊めるんですけど、別に何かいいことをしてくれるわけでもなく、ある日いなくなったと思ったら部屋のモノがなくなっているっていう(笑)。
話していると面白そうなんですけどね。
――面白さを追求しているからこそ、実現に至らないんですかね。
最終的に決定するのは西川さんなんですけど、どっかで見えない部分があるんでしょうね。
「LIFE!」は、豪華なキャストで作りこんだセットでコントをするということが他との違いで、一本撮影するのに、なかなかのカロリーが必要なんですよね。だから、「絶対に面白い」っていうとこまで持っていかないと収録できないんだと思います。
――今後書いてみたいのはどんなコントですか?
僕の個人的な目標は、女性のキャラクターをもっと増やしたいということです。
これまでのコント史をひも解いても、ほとんどは男性がやっている気がするので、「おふくろ刑事」もそうですけど、女性が活躍するコントをもっと書けたらいいなって思ってます。
――では最後に、「LIFE!」の魅力はどこだと思いますか?
内村さんが作ってくれている空気からか、とにかく平和な番組で、嫌な気分にならずに笑っていられるようにできているんじゃないでしょうか。
誰が見ても楽しいっていうところが魅力かなと思います。
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