ドラマだと、PR文言やキャストのコメントで「最後の最後までお見逃しなく!」といった言葉が並ぶことは珍しくないのだが、報道する側が書くとどうもうさんくさくなるよなあと思い、あまり使いたくない。
ただ、久々にその文句を積極的に使いたくなった。
当然オンエア前なので言えないのは当たり前だが、これは本当に最後の最後まで見てほしい。結末を見届けてほしいという思いと、いろいろ考えさせられる作品だなという思い、2つの意味から。
順を追って印象的なシーンを挙げると、冒頭で出てくる芽依子と9歳の娘・真衣の踊り練習のシーン。その後の事件をみじんも感じさせないかわいらしい母娘のほのぼのとしたやりとり。
某CMをほうふつとさせるなあと思っていたら、早めにつらいシーンがやってきた。やはり誘拐モノって、ドラマだし、演技だしと思っていてもつらい。
大事な人が目の前からいなくなるって、合意の上でいなくなるのさえつらいのに、心の準備もないうちにいなくなってしまったら、そりゃ多少悪の道に手を染めてでも助けたくなる、というのが親心だろう。
かくいう筆者も誘拐と一緒にしたら失礼だが、愛犬の“親権”を合法的に持っていかれたときも、どうにかして元嫁の弱みを握って…と考えたが、別れた後の連絡先も住所も知らないので諦めた。いや、何の話だ。
さておき、当然だがシリアスな展開の続く本作だが、そんな中でも癒やしの存在が芽依子と同じ法律事務所の2人・でんでん&飯豊まりえ。
2人とも個別取材で何度かお会いしたことがあるのだが、いざ相対するとその癒やし系オーラに軽くもっていかれるタイプ。取材を忘れてずっとしゃべっていたいくらいだが、お忙しい方々なのでそうもいかない。
そういう私情は抜きにして…緊迫しているシーンにしろ、そうじゃないにしろ関係なく、画面にも癒やし系オーラが出てしまっているから、2人の出る場面は安心して見ていられる。
そしてもう1人。失礼を承知で、個人的に「ちゃん付け」して呼びたいジャニーズタレントNo.1な、丸ちゃんこと丸山隆平だ。
テレ朝ドラマ×丸ちゃんといえば、主演ドラマ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(2012年)の印象が強烈。
ダメ男が成長する姿を見事に体現したのだが、あれがやけにハマっていただけに、ヒゲを生やした“ノキ弁”(弁護士事務所の軒先からおこぼれの仕事をもらうフリーの弁護士)役と聞いて、勝手に大丈夫かな?と心配していた。
べ、別に否定的見解を示して女子に嫌われたくないからとか、関係者にヨイショするわけじゃなく、素直に丸ちゃんの演技には称賛の声を送りたい。あのヒゲも渋みがあっていいじゃない。
もう一切、金輪際、丸ちゃんがテレ朝ドラマに出ないなんてことはないだろうが、目の前で見られる今こそ、ぜひ見ておいてほしい。
ビジュアルに関していえば、当然主演の松嶋に触れないわけにはいかない。残念ながら画面越しにしか見たことがないのだが、全然変わらない圧倒的な美貌…。
言いたいことも言えない世の中だった時代から数えても20年。彼女は年が取らない魔法にでもかかっているのか? 今作では炎に巻かれ、ダッシュを繰り返し、水浸しになり、さらには体を拘束されるといった壮絶シーンにも代役を立てることなく、真っ向から挑んだという彼女。
炎のシーンなんて「代役ナシってマジ?」と視聴者センターに問い合わせようかと思ったくらいだが、まだオンエア前だったわと思って慌ててやめたほど、激しく、今も震えが止まらないほど衝撃を受けた。
それもあり、シリアスな表情が当然多いのだが、娘さんと会った時など、本当にひまわりのような笑顔を見せてくれる。
あとは、柄本時生&柾木玲弥という“底知れぬ闇”を抱えるキャラを演じさせたら若手屈指のカメレオン俳優コンビに、なぜか知らないけどリーガル系作品では必ず検察側でいてほしい八嶋智人。
当然、小市慢太郎、杉本哲太、伊武雅刀、風吹ジュンらベテランたちの演技も忘れちゃいけないし、むしろ忘れたくても忘れられない。
さて、あらためて筆者の本当の宝物について考えてみた。
悲しいかな、それこそ7日間どころじゃない長い期間、仕事で使用するノートPCになるのだろうな…。
早くちゃんとした宝物を探さなきゃ。
文=人見知りシャイボーイ
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)