会場に入ると大きなガラスの靴が描かれた幕が観客を迎える。幻想的な空間かと思いきや場内には空襲などの轟音が鳴り響いており、とても奇妙な雰囲気に。
幕が上がると空襲に遭った時の避難方法を案内する当時の映像が流れ、誰もが知る“おとぎ話”の「シンデレラ」ではないということを思い知らされた。
第二次世界大戦下のロンドンが舞台という大胆なアレンジがされた本作は、“バレエ”のイメージをいい意味で裏切られる要素が多く存在する。
いわゆるバレエというと女性はチュチュ、男性はタイツ姿という華やかで非日常的な衣装の印象があるが、本作の衣装はドレスやズボンなどわれわれになじみのあるスタイル。
そして見せ場としてのダンスシーンもあるが、レコードの針を置く、シンデレラから手紙を取り上げるなど日常の動作が振付として落とし込まれており、まるで歌のないミュージカルを見ているかのよう。
衣装や動き、振付が美しいながらもどこかリアルで、登場人物をより身近に感じることができた。
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