NHK総合ほかで放送中の連続ドラマ小説「まんぷく」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか)。10月20日(土)放送の第18回で福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)ついに結婚した。
福田靖の脚本による、福子とその夫・萬平の成功物語で、インスタントラーメンを生み出した実業家である安藤百福氏と妻・仁子氏の半生をモデルに、戦前から高度経済成長期にかけての激動の時代を舞台にたくましく生きる夫婦の姿を描いている本作。
紆余曲折を経て、2人の関係に反対していた福子の母・鈴(松坂慶子)の心をもついに溶かし、結婚を果たした福子と萬平のこれからにさらに注目が集まっている。
今回、営業担当として萬平と会社を共同経営していたが、軍需物資横領の罪を萬平に被せた加地谷圭介を演じる片岡愛之助が、本作への出演が決まったときの気持ちや、役作り、現場の印象などを語った。
――「まんぷく」に出演することが決まったときのお気持ちは?
長年役者の仕事をしていると、夢や抱負が見つけにくくなっていくんですが最近「あ! “朝ドラ”に出たい」と思いついて、2018年の抱負をそう答えていたんです。だから「やったー! 夢がかなった!」と、ガッツポーズが出るような、面接に受かったような喜びでした。
僕は大阪の人間ですし、実家も堺。上方の歌舞伎俳優として、ぜひ大阪で作る“朝ドラ”に出たいなと思っていたら「まんぷく」のお話をいただいて。すごくうれしかったですね。
――ご自身の役柄についての印象や、演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などはありますか?
僕個人として、加地谷には全く共感できないですね(笑)。似たところもないし、始めは加地谷の人物像は理解不能でした(笑)。
でも台本を読みながら、この人はどんな人で、どう進めたいのかな…と一つずつ丁寧に考えていき、ようやく理解できたんです。なるほど、そう振舞うのも仕方ない時があるよね…という感じで今は納得できています。
自分にはない塊を、演じるのが面白いんです。そう感じるんだ、そっちに進んじゃう!? と、つっこみどころが満載です。加地谷は悪い人ではないけれど、どんどんステップアップしたい野心家で、上から目線が引っかかる、ちょっと損な生き方をするキャラクターの人物ですが、戦争のあるこの時代が彼を変えてしまいます。
彼は戦争をビッグビジネスのチャンスと捉えて戦争景気に乗って勝ち組に入ろうと奮闘しますが、そのせいで闇を抱えてしまう。考え方によっては、かわいそうな人物です。
萬平のことは、共同経営者として彼のひらめきや腕前を認めていました。でも、その才能を目の当たりにするうちに、だんだんと嫉妬のような感情が心に宿ってしまい、そして自分が何も持っていないのだと気付いてしまいます。
もともと自己顕示欲の強い加地谷にとって、それはとてもつらいことだったはずです。従業員二人だけの会社なのに、事あるごとに萬平に「俺が社長やぞ!」と念押ししたり、二人で会話しているのに、いつも最後に「そうやな、立花」と名前をつけたりしているのは、加地谷の“俺が俺が精神”の表れだと思います。
普通、二人しかいないときに相手の名前をいちいち呼ばないですよね。台本を読んでいて「どれだけ圧力かけるねん!」と思いましたよ(笑)。
そんな人物が、「自分なんてたいしたことないんやろうな。金勘定しかできないし」とちょっとひがみだしたら、あらぬ方向性へ突き進むのもわかります。上下白のスーツでおしゃれして、すごく目立つのも自己顕示欲からでしょうね。
今まであまり演じてきていないタイプの人物で、新鮮です。一人の人間を演じるのに、アップダウンが大きいのも楽しいですよ。人間って誰でも大なり小なり、人生のアップダウンがありますからね。加地谷圭介として生きる事ができるのは、役者として幸せです。
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